『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

62話 不退転の不具合。

 62話 不退転の不具合。

「普通のヤツにはできねぇよ。俺だって、ガキの頃には言えなかった。至極、単純な話。――いままで必死になって背負ってきた全てが、俺に不遜(ふそん)を通(とお)させる」

 そう言いながら、
 センはゆったりと武を構える。

 その悠然としたさまを目の当たりにして、
 バンスールは思わず、

「お前は……いったい……なんなんだ……」

 つい、ポロっと口に出てしまった。
 もはや、すでに理解できている。
 けれど、問わずにはいられなかった。

 心が、答えを求めている。

 センは、
 ニっと微笑んで、

「俺は究極超神の序列一位。神界の深層を統べる暴君にして、運命を調律する神威の桜華――舞い散る閃光センエース」

 名乗りを受けると、
 バンスールは、かみしめるようにうなずいて、

 キっと、その視線に力を込めて、

「オレは、不条理の限界を超えた観念の結晶。存在理由を求めてさまよう領域外の破損データ。不退転の不具合バンスール」

 ゆっくりと、武を構えた。
 シンと静かで、
 どこか物悲しい。

 けれど、
 その奥にある輝きは、
 とても、無垢で、
 どこか、廉潔(れんけつ)さを感じさせて、
 だから……



 ――ギンッと、
 硬質な音が響いた気がした。



 ゆったりと深く、
 雑味なく、

 静かに、ゆるやかに、
 時間の流れよりも淑(しと)やかに、

 両者の武が、まじりあう。


 最初は拳で挨拶。
 触れるようにやさしく、
 互いの輪郭を求めあう。

 煽情的(せんじょうてき)に、
 しなやかに、
 きめ細やかに、

 瞬間移動に残像を絡ませて、
 オーラと魔力が鮮やかな陰影を刻む。

 空間全体で表現する涼やかな芸術。

 この上なく贅沢な空間。
 リミットを超えた鮮やかさで埋め尽くされる。

 優雅にオーラが弾けて、
 瀟洒に魔力が弾む。

 その美しい流れの中で、
 センエースは、一定のリズムで、

「なるほど、確かに、お前からは、ソンキーを感じるよ、バンスール」

 認めた上で、
 その上で、

「しかし、少し薄いな。もう少し、ちゃんと、つかみ取れ。ソンキーの武は、もう少し、影が濃いんだ」

 センの言葉に、
 バンスールは瞠目した。

(……まだ……これでも……足りないというのか……っっ)

 気が遠くなった。
 つい、フラっとヨロめいてしまった。

 そんな『甘え』を、
 センエースは、あえて見逃した。

 同格同士の闘いであったなら、
 その手のミスを見逃したりはしない。

 ――すなわち、現状は『指導』にすぎないってこと。
 遥かなる高みに位置する神が、
 見込みのある幼子に対して、
 究理の学を刻もうとしているにすぎない。


「もっと、ソンキーを理解しろ。あいつは美しい。お前が想像しているよりもずっと」


 天上から降り注ぐ言葉。
 それは、まさに命の道標(みちしるべ)。

「心(しん)を推動させ、技(ぎ)を気化し、体(たい)を温煦(おんく)する……あいつの流(りゅう)にノイズはない。その命すべてが神業。彷徨(さまよ)う冒涜。コピーでは届かない世界。その最果て」

 丁寧な解説。
 だが、
 あまりにも丁寧すぎて、

(……わからない……なにも……)

 バンスールには届かない。
 当たり前の話だが、
 そう簡単に理解できる領域ではない。

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