『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

48話 あなたは……

 48話 あなたは……

「強さなんてものは、結局のところ、ジャンケンの上手(うま)さなんだよ。もっと正確に言えば『ジャンケンにうまいもクソもない』という『実は最初から明瞭』だった『当たり前の理解』にいたって、ようやく最果てのステージにたてる」

 カドヒトは、タメ息まじりに、どこか遠くをみつめながら、

「ふざけた話だと思わないか? 運ゲーにもちこめたら、ようやく最強。矛盾しているのかどうかすらイマイチよくわからない、奇妙な概念……けど、それが『最強』なんだから仕方がない。ほんとうに……虚しい話だ……」

 ボソっとそうつぶやく。

 カドヒトの言葉を、まっすぐに受け止めたバンプティは、
 だから、


「あなた……は……」


「ん? どうした? なにか聞きたいことでもあるのか?」

「……あなたは……」

 そこで、バンプティは、カドヒトの目をじっと見つめて、





「……神帝陛下……ですね……」





 貫くような言葉が届く。
 いまだ『疑問符の余韻』は消えていないが、
 しかし、どこかで『確信めいた色』が刻まれた言葉。

 『そんなわけがない』という想いと、
 『もはや、そうであってくれなくては困る』という想いが、
 ぶつかりあい、せめぎ合い、ぐちゃぐちゃになって、
 気づけば、
 ポロっと、口をついていた、拙い問いかけ。

 そんな問いを受けて、
 カドヒトは、

「……」

 数秒だけ黙ったが、


「だとしたら?」


 そうなげかけると、
 バンプティは、息をのんでから、

「……どうして……」

 当たり前の疑問を投げかけた。
 いろいろな『どうして』が含まれた言葉。

 それを受けて、
 カドヒトは、

「どうして、か。まあ、理由はいろいろあるだろうな。人は多くの理由を背負って生きている。神の領域に至っても、そこに変わりはない」

 そうつぶやいてから、

「まあ、俺は神帝じゃないから、『もし俺が神帝だとしたら』という仮定は、永遠に『意味のない妄想の域』を出ないんだがな。『今』の俺は真実の伝道者カドヒト・イッツガイ。それ以外の何者でもない」

 最後に、無意味なフォローを入れるカドヒト。


 ――そんな様子を、少し離れた場所で見ていたスールは、

(確かに、リーダーは『一歩違う高み』にいるが、だからって『センエース扱い』は違うだろう……何を考えているんだ、バンプティ猊下は……)

 心の中で、バンプティの言動に対して疑念を抱いていた。

 触れてみなければわからない輝き。
 色々な歯車が、ズレて、歪む。
 他者や現実を理解することの難しさ。

 ただ、スールは、そこで、

(もし、リーダーがセンエースだったと仮定したら……)

 そんなことは、今まで、もちろん、考えたこともなかったが、
 しかし『その仮定』を前提にモノを考えてみると、
 いろいろな思想――妄想が頭の中を駆け巡る。

(もし、仮に、万が一そうだったとしたら……きっと、俺は、センエースという王を認められるだろう……『合理』と『強さ』を併せ持ち、どんな時でも、清廉(せいれん)高潔であり続け、その上で『過剰に美化された聖典に対する忌避感』という『きわめて常識的な視点』を持つ超人。理想的だ。すべてにおいて……もし、リーダーがセンエースだったとしたら、俺にとっても、理想の『道標』……)

 ひととおり、妄想を並べ終えると、
 スールは、首を横に振って、

(……妄想が過ぎるな……愚かしい……)

 自分の考えを、自分で否定する。
 否定するにしても、肯定するにしても、
 スールの中では、根拠があいまいすぎた。

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