『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

37話 狂い果てるほどに、まわれ。

 37話 狂い果てるほどに、まわれ。

「その加速、どこまで進めるのか、見届けてやるよ」

 言って、カドヒトは、心のギアを一つあげた。
 キレよく、つつがなく、カドヒトは、バンプティとの距離に風穴をあける。

 その華麗な動きを目の当たりにして、
 バンプティは舌打ちをした。

「今の私の存在値は700に達している。あの狂ったような超天才『ジャミ・ラストローズ・B・アトラー』にも匹敵する力。対して、貴様の存在値は、愚連の上級程度」

 あらためて現状を認識してから、

「……存在値にこれだけの差があって、ここまで寄せてくるとは……私が積んできた全てを否定するようなムーブ……本当にイライラさせる男だな、貴様は!」

「お前の怒りを、俺は祝福する」

 カドヒトは、遥かなる高みから言葉をなげかける。
 『積んできた全て』を否定される苦悩。
 その痛みを、カドヒトは知っている。

 『英語のテスト』という、バカみたいな領域だったが、
 しかし、かつてのカドヒトは、確かな痛みに潰された。

「お前が抱えている『その痛み』の重さは、努力の量に比例する」

 この重さ、この苦しさについて、
 カドヒト・イッツガイは、狂おしいほどに理解できている。

 だからこそ思う。

「お前は大した男だよ、バンプティ。ノロマな歩みを積み重ねてきた数少ない本物。お前は美しい」

 心からの言葉。
 ゆえに、

「俺の名のもとに、お前の怒りを受け入れよう。お前の孤独を受け入れよう。俺の器に、お前を注いでやる。――さあ、くるがよい」

「……存在値170程度のザコが、上からモノを語るんじゃねぇええ!」

 叫びながらも、
 バンプティは、冷静に、
 カドヒトを狩るためのプランを考える。


(カドヒトの武は異常。まともな殴り合いでは分が悪い……存在値の差をモノともしない狂気の戦闘力……私が積んできた全てを否定する『奇妙な高み』……だが……っっ)


 つきつけられた現実。
 だが、その程度で折れたりはしない。

 『現実の苦さ』なら知っている。
 バンプティの『底』には、ゼノリカという器がある。

 それは、仮バグに惑わされている今でも変わらない。


「まわれ、バンプティルーレットっっ!」


 ギュンギュンと音をたてて回転するルーレット。
 いつもより、
 回転速度がはるかにはやい。

 その途中で、

「もっとだ! もっと狂え! その程度じゃ、まったくたりてねぇええ! 私の可能性はもっと大きい! もっと加速しろ! ――あのカス野郎を置き去りにする力を! 私を開く力を! この地獄! この苦悩! この孤独を飲み込んで!! 狂い果てるほどに、まわれぇえええええええ!!」

 それは悲鳴。
 『才能のなさ』を背負って生きてきた者だけの慟哭。

 その悲鳴は、
 だから、届く。



「プラチナァァァァッッッッ! 

        スペシャルッッッッッッ!!」



 『魂魄の叫び』を受け入れたように、
 バンプティルーレットが、パァァァァンと景気よく砕け散った。

 その『砕けた破片』は、グニャグニャと渦をまいて、
 逆再生したみたいに、
 ルーレットの形状へと戻っていく。

 『元』に戻ったのではなかった。
 バンプティルーレットは、禍々しい異質なソレへと変わっていた。

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