『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

20話 信じられない深さ。

 20話 信じられない深さ。

「バンプティ。俺はあんたを認めたね。さすがは、九華十傑の第十席序列二位。天下の『霊台』とは器が違う。……俺は、あんたの『歩み』を尊敬する」

「キ〇ガイの賞賛などいらん。貴様は、黙って、私に殴られておればいい」

「残念ながら、お前の武が通っていた時代は終了だ。ここからは俺の時間。特別に、見せてやるよ、俺が辿り着いた世界を。お前が積み重ねてきた狂気すらも遥かに超越した、鼻が曲がるほど泥臭い努力の結晶を」

 そう言うと、
 カドヒトは、光を線にした。
 内側から放たれた瞬(またた)きが、
 エッジのきいた菱形(ひしがた)を描きながら、
 カドヒトという概念そのものを、瀟洒かつ豪華に輝かせる。

 洗練された、命の光。
 ゆったりと、深く、雑味なく、
 ただ柔らかに、ふりそそぐ。

「ぬぉ……っ」

 その厚みに、バンプティの魂魄が震えた。
 思わず声をもらすほどに、カドヒトの圧力は大きかった。

 バンプティの目の前で、カドヒトは穏やかに流れていく。
 踏み込み足に心を込めて、
 空気にすら存在を気づかせないほど繊細に、
 それでいて、誰もが目を見張るほど大胆に、

 カドヒトの『武』は、
 あざやかに、バンプティの全てをさらっていく。

(からめ……とられるっ……)

 『空間を制圧されている』という認識は、
 しかし、どこか不快ではなくて、

 湿度を失った渇きが、
 ただピリピリと、
 全身の至る箇所へと広がっていく。

「誇れよ、バンプティ。お前は、今、俺の『流(りゅう)』についてきている。もちろん、周回遅れだが、しかし、今、お前は俺の背中を見ている」

 おごそかなで、どこか神秘的な流。
 まるで静かな海。
 穏やかで、優しくて、けれど、とても大きい。

(……し、信じられん深さ……)

 今のバンプティに、カドヒトの強さを正確にはかることはできない。
 カドヒトの武は、バンプティに理解できる領域にない。

 現在のバンプティにとって、カドヒトの武は、
 『そこの見えない穴』みたいなもの。

(存在値は私の方が上だというのに……)

 カドヒトの存在値は170。
 存在値だけで言えば、450に達しているバンプティの方がはるかに上。

 300の開きはかなり大きい。
 だが、戦闘力には、それ以上の『開き』が見えた。

(……私の方が格上のはずなのに……なぜ、こうも、すべてがズレる……っ)

 今のバンプティでは、まだ、
 『ズレる』としか判断できなかった。

 そこから先を求めるには、まだまだ練度が足りない。
 今のバンプティは、その事実に気づくこともできないレベル。

(霊台は報告書に『あと一歩のところで逃げられた』などと書いていたが……ふん、ばかものめ……逃げられたのではなく、相手にしてもらえなかっただけじゃ……こいつがその気になれば、霊台程度は簡単に倒せる……この男の深さは質が違う……っ)

 カドヒトの強さをハッキリと理解したバンプティは、
 『本気』で対応しようと覚悟を決めた。

 『格下を相手にするモード』ではなく、
 『全力で相手を叩き潰すモード』への移行。



「まわれ、『バンプティルーレット』っっ!」



 宣言すると、バンプティの目の前に、
 十等分に区切られたホイールが出現し、
 グルグルと高速でまわりはじめた。

 本気で戦う時にしか使用しない異型グリムアーツ『バンプティルーレット』。

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