『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

9話 リアリストには理解できない光。

 9話 リアリストには理解できない光。

『これだけ努力している俺を置き去りにするほどの努力を、あなたたちは積んだのだろう。もちろん、俺より才能があったからというのも要因の一つだと思うが、それだけでは、その高みまでたどり着けないという想像ぐらいはつく。……すごいよ……本当に……あなたたちは……美しい……』

 本気の敬意に包まれる。

 『努力を怠った者』は『成功者』をねたむが、
 最低限以上の努力を積んだ者は『高みに至った者の狂気』に敬服する。

 狂おしいほどの絶望を知っているスールは、
 魂の底から、ゼノリカを敬愛している。

 ――だからこそ、スールは、センエースという偶像が許せない。
 『そんなくだらない嘘でゼノリカという光を穢してはいけない』
 と、心が強く喚(わめ)いている。


「センエースなんて神は存在しない。するわけがない。こんな『頭の悪い妄想』に頼るべきじゃない」


 スールの本気の想いを受け止めたパメラノは、
 数秒の沈黙を経てから、

 『ふぅ』と長めの息をつき、

 天を仰いで、
 けだるげに、


「リアリストには理解できんじゃろうな。あの輝き、あの狂気」


 パメラノは、一貫して、
 『主の実在を伝えるため』に『説得しよう』とはしていない。

 『無駄だ』ということが十全に理解できているから。
 パメラノは、一般人に対して『センエースという神を理解してもらうための説得』はしない。
 しても意味がないと知っているから。
 肌で触れなければ、あの暖かさを理解することなどできるはずがないから。

 この点に関しては『一度も説得を試みずにハナから諦めている』のではない。
 これまで散々やってきて、
 今でも『見込みのあるやつ』に対しては説得を続けているが、
 『結局、まともには理解されなかった』というそれだけの話。

 九華十傑の第一席ジャミ・ラストローズ・B・アトラーは主を信じていない。
 パメラノは、ジャミが生まれて間もないころから、
 ずっと、ひたすらに、根気強く、主の美しさを散々といてきたが、
 しかし、いまいち、心に刺さっている様子はない。

 『あの光に触れていない者』には伝わらない。
 伝えることなど出来るはずがない。

 平和ボケした現代の若者に、地獄を切り開いた男の狂気など伝わるはずがない。



 ――誰もが明日をあきらめた『地獄の底』で、

『命令だ。前を向け』

 たった一人、

『ここには俺がいる』

 全ての命が叫んだ『助けてくれ』って慟哭を受け止めてくれた、

『見せてやるよ、希望。殺してやるよ、全部』

 あの尊き光を、

『根こそぎ、終わらせてやる。すべての絶望を殺してやる。世界を救ってやる』

 本を読むだけで理解することなど、

『お前たちの先頭には、いつだって、必ず、俺がいる!
 必ず、お前らの前に道をつくってやる!
 だから、前を見る事だけはやめるな!
 目をそらすな!
 絶対に、俺の背中から目を離すんじゃねぇえええ!!』

 ――できるはずがないのだ。



(下手に努力を積んだ者ほど、主に対する疑念をいだきがち……この世界の『あるある』じゃな。絶望の重さを知れば知るほど、『命の王』など存在するわけがないと思いたくなってしまう人のサガ――)


『全部、背負ってやるよ。
 なにもかも全部。
 全ての絶望、希望、想い、願い、命、心、全部。
 俺はセンエース。お前たち全員の王だ』


(――矮小な己を苦しめている『その壁』を、当たり前のように越えていく存在などいるわけがない、という、もはや脊髄反射ともいうべきメンタル防御思考)



「『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く