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13話 全宮学園Sクラス3年生のボーレ。

 13話 全宮学園Sクラス3年生のボーレ。

 5階にたどりついて、少し歩いたところで、扉を見つけたゲンたち。
 警戒しつつ、その扉を開けると、
 そこには、

(……あのデブメガネは……さすがにモンスターじゃないよな……試験官かな……)

 メガネをかけたデブ男が一人で立っていた。
 そのデブは、ロコたちを視認すると、

「こんにちは。私は、全宮学園Sクラス3年生のボーレ。試験官の一人です。よろしくおねがいします」

 礼儀正しくそう言いながら、ナナメ50度くらいのお辞儀をする。

 二秒ほど頭を下げてから、
 スっと顔をあげて、

「この5階層は、これまでの迷路と違い、私のメガネにかなえば、その時点で突破できるという、非常にシンプルなシステムとなっております」

 自分のメガネをクイっとあげつつ、淡々と説明してから、
 メガネごしに、ロコの目をジっと見つめ、

「はい、ロコ様は、もちろん合格です。さあ、お通りください。あちらの扉の向こうに階段がありますので、そこから6階にお進みください」

 合格判定を受けたロコは、

「……ちなみに、合格した理由は?」

 そう言いながら、ボーレの横を通り抜けていく。

 ボーレは、軽く頭をさげながら、

「理由など、言うまでもありますまい。あなた様の高貴さにあてられて、このボーレ、足と心が震えております」

「……あ、そ」

 面倒くさそうにそう言って、
 ロコは、六階へと進む扉の前まで進む。
 そして、扉に背を預け、腕を組み、
 残りの二人の結果を見守る。

 そんなロコの視線を背中に感じながら、
 ボーレは続けて、ヤマトに視線を向けて、

「次に、そちらの胸が豊かな方……あなたもお通りください」

「あれぇ、私もスルーなのぉ?」

 言いながら、ボーレの横を通り抜け、

「ちなみに、理由はぁ?」

「理由など、言うまでもありますまい。あなた様の巨にゅ……美貌にあてられて、このボーレ、魂が震えております」

「だよねぇ」

 にこやかにそう言いながら、ロコの横に並ぶヤマト。

 ちなみに、ボーレは、チョコネコ内でだけ使用可能な『試験官特権魔法』の遠視で、
 受験生たちの行動を確認しており、
 ヤマトが『ハンパない超人である』ということを確認している。
 ※ ちなみに、この魔法は、ボーレの監督範囲である1階から5階までしか覗けない。


『あの巨乳女、やべぇな……戦闘技能もエグいけど、それ以上に、なんで、隠し扉とか、隠しスイッチとか、全部、当たり前みたいに見つけていくんだ? あれは『スキルどうこう』じゃねぇ……ど、どういう運してんだよ……』


 と、遠視しながら、その格の違いに戦々恐々としていた。

 ――ロコとヤマトの視線を背中に受けながら、
 ボーレはゲンに視線を向けて、



「……それでは試験をはじめる。やるまでもなさそうだが、一応、手合わせぐらいはしてやるさ。さあ、どこからでもかかってこい、目つきの悪いクソガキ」



 冷たく言い放ちながら、
 拳を握りしめて、ファイティングポーズをとるボーレ。
 そんなボーレに対し、
 ゲンは渋い顔で、

「……あの二人はスルーなのに、俺に対しては、その感じか……なに、この差別。ひくわぁ」

「これは差別ではない。ただの格差だ」

「……そうですか」


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