『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

130話 何も覚えていない。

 130話 何も覚えていない。

 ロコは、気絶しているゲンの頬をペシペシと叩く。

「聞きたいことがあるわ、起きなさい」

 言葉も交えつつ、何度かシバくと、

「ん……ん……」

 先ほどのロコと同じような寝ぼけ顔で顔をあげるゲン。

 目を覚ましたゲンは、

「あれ……ん? あん?」

 何やら混濁している様子で、
 周囲を見渡して、

「どこ、ここ……あれ、俺……車の中にいたような……いたようなっていうか、いたよな……家族会議から帰る途中で……え、俺、寝た? 遠出した帰りの車の中で寝るとか、そんな5歳児みたいな恥ずかしいマネ……てか、マジ、どこ、ここ?! なに、この状況、はぁ?!」

 そんなゲンの様子を見て、
 ヤマトは、

(……ほむほむ……どうやら『私がロコの車を襲撃する前』の段階まで記憶が改竄されている様子だねぇ……)

 『事情』を知っているため、そう認識したが、
 ゲンの事情をいっさい知らないロコは、
 当然、

「何を言っているの……あたしたちは、そこの男……女に襲われたでしょう」

「おそわれた? ……え、誰、この人……」

 本気で不思議そうな顔をしているゲンに、ヤマトが、

「私はヤマト。よろしくぅ」

「……はぁ……どうも……ぇと……あれ、ソウルさんは?」

 反射的に、父親の姿を探すが、
 周囲に毒組メンバーの姿はない。

 キョロキョロしているゲンに、ヤマトが続けて、

「向こうの方で気絶しているよぉ。殺してはいないから、安心してねぇ」

「気絶……殺してないって……え? どういう……」

 と、そこで、ロコが、しんどそうな顔でヤマトを睨み、

「ヤマト、あんた、ちょっと黙ってて」

「それは命令ですかぁ?」

「円滑なコミュニケーションのためのお願いに決まっているでしょ」

「じゃあ、黙りまぁす」

 チョケた口調でニタニタ笑っているヤマトを視界から外し、
 ロコは、ゲンの様子をジックリと観察しつつ、

「……どうやら、軽い記憶障害が起きているみたいね。直近の記憶……ヤマトに襲われて以降の記憶が飛んでいる様子……」

 ロコはため息をつきながらそう言った。
 交通事故などの『気絶するほどのショック』を受けた際に『メモリの一部に損傷が見られること』は、別段珍しいことでも、特別ありえない事でもないので、ロコは、現状のゲンに対して、さほど違和感を覚えることはなかった。

 ――ただ、

(ヤマトからは絶対に情報を引き出せそうにない以上、『ゲンから事情を聴取するしかない』……なのに……これじゃ、無理そう……記憶の回復を待つしかない……か)

 ヤマトの心変わりに関しては、
 これからの事を考えると、是非モノで知っておきたかったのだが、

(……しかたない)

 あきらめをつけると、

「ゲン、あとで説明してあげるから、今はちょっと我慢してくれる?」

 ゲンにそう声をかけてから、
 ヤマトに視線をうつして、

「……一つ聞いておきたいのだけど、あたしを暗殺しようとしているのはあんただけ?」

「でしょうねぇ。ロコ様の暗殺程度は、私一人いたらコトたりるチョロい仕事ですので、他の反社を雇うことはないでしょう」

「……不愉快だけれど、反論の余地はないわね」

「仮に『この私に依頼しておきながら他の者も雇う』だなんて『そんな失礼なこと』をされたら、私は、二度と、全宮アギト様の頼みは聞かないでしょうねぇ」

 などと言ってから、
 ニカっと微笑み、

「まあ、こうして裏切っているので、実際には、二の手を雇っておくべきだったのですが、しかし、まあ、それは結果論ですねぇ、あははぁ」


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