センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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126話 舞い散る閃光の前で、名乗りをあげること。

 126話 舞い散る閃光の前で、名乗りをあげること。

「今の俺の『数値』は、真なる全力の数%程度だが……お前の視点では、そこそこ大きいだろ?」

 そのような言葉を投げかけた。
 『不可侵の理解』が頭の中で沈殿していくにつれて、
 ヤマトは、目の前に立つ男に対して、
 『宇宙』を感じた。

 生命というシステムを超越した、果てしなく膨大な魂魄の器。

「……は、ははは……」

 こみあげてきた笑みに身を任せるヤマト。

 どうすればいいのかわからない困惑の果てに、

 ヤマトは、

「……あなたには、目標とか……あるのかなぁ?」

 ふいに、そんな質問を投げかけた。

「唐突だな。なぜ、そんなことが聞きたい?」

「それだけ大きければ、出来ないことは何もないように思えるからさぁ。頭の中で想像するだけでも、すべてが実現できるんじゃないかって……そう思ったんだぁ」

 そこで、言葉を区切り、
 ナイアを俯瞰で見つめながら、

「出来ないことが何もないということは……なによりも虚しいということ……そんな風に思っちゃった。だから聞いてみたいと思ったんだよねぇ」

 ナイア・ゲン・フォースというイカれた生命を知ったことで、
 ヤマトの脳はフルで活性化し、
 高次の疑問を抱くにいたった。

 この段階において、
 『ひれ伏す』とか『その尊さをあがめ奉(たてまつ)る』とかではなく、
 『まっすぐな疑問符を抱く』という特異性を見せつけるヤマト。

 彼女はどこまでも壊れている。
 その証明のような一幕。

「俺の目標は、いつか『名乗りをあげる』こと」

 ナイアは、遠くを見つめながら、

「もっと言えば『その先を見る事』だが……まあ、しかし、まずは、名乗りをあげることが目標だ。その段階に至らないと、一歩も前には進めない。舞い散る閃光の前で名乗りをあげる……そのために、今は色々と積んでいる」

 その宣言を、
 ヤマトは、

「……へぇ」

 受け止めて、咀嚼する。
 理解は出来ない。
 ぶっちゃけ、何を言っているのかわからない。

 『舞い散る閃光の前で名乗りを上げること』――それが目標になるという意味は、もちろんだが、さっぱり不明。
 到底理解できる気がしなくて、普通にモヤモヤしたが、
 けれど、同時に、『それも当然だろう』と思った。

(コレを理解できるはずがない……コレを理解できる者など存在しえない……)

 ナイアが魅せたあまりの『大きさ』が、
 ヤマトに、その結論を抱かせた。

 だから、

「その目標……手伝ってみたいんだけど、許可してもらえるかなぁ?」

 ヤマトは、そう提案を持ちかけた。

「私は、あなたの……パートナーになりたい」

 彼女は、自分のプライドを成立させるためだけに生きている。
 完全に壊れてしまっている彼女に、目標や生き甲斐などは何もない。

 彼女は、これまで、ずっと、
 ただただ『自身のプライドと折り合いをつけるだけの人生』を歩んできた。

 けれど、

「イヤだといっても、ムリヤリ手伝わせる。なぜならば、ゲン・フォースの人生を楽しくするためには、お前の存在が不可欠だから」

 変わる。
 ヤマトの人生は、
 今日をもって、まったく別のものに生まれ変わる。

「よくわからないのだけれど……『ゲン・フォースの人生を楽しくする』っていうのは、あなたの目標を達成するために、どうしても必要なのかなぁ?」

「どうしても必要だ」

「そうなんだぁ……」

 つぶやいて、何度か頷いてから、

「さっぱり理屈は不明だけれど……オーケー。これから、私は、あなたの目標をサポートするため、ゲン・フォースの人生を楽しくさせてみせるよぉ」


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