『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

117話 黒く、輝け、トラペゾヘドロン。

 117話 黒く、輝け、トラペゾヘドロン。

「黒い血を吐くとはねぇ……もしかして、君は人間じゃなかったのかなぁ?」

 困惑の中で、そんな質問をするが、
 ゲンはまったく聞いておらず、

「ごぽぉおお! あぁああ、げはぁ!」

 大量の黒い血を吐き出し続ける。

 その黒い血は、どんどん集まっていき、
 圧縮されていく。

 そして、最終的には、

 漆黒に輝く玉となって、
 ゲンの手の中におさまった。

「……はぁ……はぁ……うぷ……うぇ……」

 ゲンは、白目をむいたまま、
 その玉を握りしめると、
 まったく精気のない、しゃがれ声で、



「――黒ク……輝ケ……トラペゾヘドロン……」



 そうつぶやいた。
 その瞬間、
 その黒い玉から、闇色の混沌が這い出てきて、
 ゲンを包み込んでいく。

「ウゥウウガァアアアアアアア!!」

 数秒後、黒い混沌に包まれたゲンは、

「ウィイイッッ!」

 ふぃに、

「ダァァア!!」

 目をカっと開き、



「ぶはぁっっ!! はぁ、はぁ、はぁ……い、あ……い、あ……んー、ああ……」



 何度か息継ぎすると、



「うん、オッケー」



 そうつぶやき、
 首をコキコキとならして、
 肩をまわし、

「なんとか、同機できたな……よかった、よかった」

 自分の両手を見つめながら、そんなことをつぶやくゲン。

 そんなゲンに、ヤマトは当然、

「それは……どういう状態なのかなぁ?」

 疑問を投げかける。
 ゲンは、

「さぁなぁ……自分でもイマイチよくわかってねぇよ。なんとか同機できたが、しかし、全体的にあやふやだ。何もかもが非常にあいまい……俺は今の俺自身を、さほど理解しちゃいない」

 言いながら、天を仰いで、

「だが、わかることもいくつかある」

 そうつぶやくと、

「……すぅう、はぁぁぁ……」

 と、深く息を吸って吐いて、

「自由になって……だからこそ、不自由の鎖に縛られる……まるで、命みたいだ」

 理解できそうにない言葉を吐いてから、

「……なんてね♪」

 最後にそうつけたした。

 そんなゲンの様子を、
 ヤマトは注意深く観察していた。

(……不思議だねぇ……今のあの少年は……すべてが……とてつもなく静か……)

 理解できない静けさの中で、
 ヤマトは次の一手をはかりかねていた。

(この感じはいったい……)

 ゲンから目を離すことができない。
 黒い混沌に包まれたゲンを見ていると、
 ヤマトの心の奥まで不思議な静けさに包まれていく。

(あれは……さっきまでの少年じゃないねぇ……概念レベルで別の……『何か』……)

 その理解に至った時、
 ヤマトは、脊髄反射的に、
 一歩、後ろに下がった。

 そんなヤマトの様子を感じながら、
 ゲンは、天を仰いだまま、

「さすがだな『罪帝ヒミコ』。俺の特異性を正確に解するとは……やはり、調停者の血族はスペックが非常に高い。『それなりに高いコストを払って創られただけのことはある』と言ったところか。それにぶっちゃけた話、罪帝の血が最も『濃い』しな」

 そんなことを口走った。
 ヤマトは、心底驚いたように、目を丸くして、

「な、なぜ……私の『名』を……」

「知っているのかって? もちろん、知っているさ。この世界の事なら、たいがい知っている。なんせ『創っているところ』を『隣』で見ていたからさ」

「……創っているところを……見た……?」

「ああ、だから、小説にまとめられるくらい、この世界については理解している」


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