『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

101話 気に入らない。

 101話 気に入らない。

「誰も何もしなかったら、『不完全な現状』が永遠に続く」

「……」

「きっと人間は、もっとうまくできる。もっと高潔な指導者がいれば、もっと、もっと、うまくやれる。人間には、その可能性があると私は確信している」


 それは、盲目的な信仰にすら近い狂気。
 人間のポテンシャルを過信しているがゆえの無謀な思考。

「誰もが『輝く明日』を信じることができる未来……暖かさとか、優しさとか……そういう尊さを、真摯に貴(たっと)べる世界……怠惰を助長する歪んだ共産主義じゃなく、努力が正しく認められる、正常に高潔で純粋な世界……」

 つまりは、ゼノリカ。
 ロコの望みはおそろしく遠い。
 ゼノリカを成すために必須なのは、
 この上なく尊き最果てのヒーロー。

「難しいことはわかっている……けど、難しいからといって目を背けて何もせず停滞しているだけの現状が……あたしは……『気に入らない』……」

 誰もがロコに聞きたがっている『何がそんなに気に入らないのか?』という質問に、
 ロコは、今、はじめて、ゲンにだけ、本気で答えた。

 なぜ、ゲンにだけは真意を伝えたのか、それはロコにもわからない。
 自分で自分が理解できない。

 そんなプチパニックの中で、
 ロコは続けて、

「ちなみに……現状、毎年、何人の人間が寿命以外の理由で死んでいるか、知っている?」

 ふいに、そんな質問を投げかけてきた。
 ゲンは、2秒間だけ『ロコの質問の意図』を考えてから、

「……くわしくは、ちょっと……」

 実際、統計学に精通しているわけでもないので、
 ありのままの無知をさらす。

 そんなゲンに、
 ロコは一言。

「300万人よ」

 数だけを言われても、
 当然、さほどピンとはこない。

「……多いような気もしなくはないけど、普通のような気もする……といった感じの数字ですね」

 ゲンの素直に感想に、
 ロコは『ここではないどこか遠く』を睨みながら、

「多いわよ。多すぎる」

 そう吐き捨てた。

「……そうなんですか?」

「なぜ、こんなにも多いか。理由は一つ。コスモゾーン・レリック」

「コスモゾーン・レリック……聞いたことがありますね。確か、五大家の秘宝……究極のアイテム」

 五大家だけが所有しているわけではないが、
 庶民の共通認識として、
 コスモゾーン・レリックとは、
 五大家の宝であり、つまりは、エリア全体の宝。

 ようするには国宝的な認識。
 『いまいち良くわからないけど、まあ、すごいんだろうなぁ』程度の認識でしかない。

 ――ロコがおもむろに、

「実を言うと、五大家は『とあるコスモゾーン・レリック』から、毎年『数百万単位の生贄』を要求されているわ。だから、五大家は協力して多くの人間を殺す」

 唐突に、驚愕の事実を聞かされて、
 ゲンは反応に困った。

 ゲンが言葉を失っていると、
 ロコが続けて、

「稀に起こる悪意を誘導しての大量殺戮、頻繁に流行る謎の奇病、定期的に陥る食糧難による緩やかな飢餓、時折発見されるスポットの権利を奪い合うエリア間の小競り合い。すべて自演。今日の家族会議みたいに、毎年、五大家の首脳が集まって会議が行われ『今年はどうやって生贄をつくるか』を話し合っている」


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