センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

87話 オメガバスティオンとは。

 87話 オメガバスティオンとは。

(――『オメガバスティオン』ってなんだ……)

 ゲンの脳みそが熱くなっていく。

(どこかで聞いたことがある……俺に何かを思い出させる……この想い……この覚悟……)

 何かをつかみかけて、
 しかし、スルリと、抜けていく。

 『ウナギみたいだな』――なんて、アホなことを思いながら……

(まったく、さっぱり、何が何だかわからんけど……一つ、言えることがある……)

 タラリと汗を流す。

(再現はできない。二度と出来る気がしない……完全なマグレ……マグレと言っていいのかすら不明な奇跡……だから、もう一度、アギトに『さっきの凶悪な魔法』を使われたら完全にアウト……)

 そして、遅れてやってくる心臓のバクバク。
 臨死体験は、その瞬間よりも『のちに思い返した時』の方が、
 強く重たく、心にのしかかってくる。

(……震えがとまらねぇ……怖ぁ……死ぬところだった……普通なら完全に死んでいた……)

 バックンバックンと鼓動のリズムが乱れる。
 妙に頭がボーっとしていて、
 気力がどんどん低下している。

 そんなゲンのトイメンで、
 アギトは、

(このガキが何をしたのかは不明……そして、考えてもわからない……)

 散々混乱した結果、
 そのスッパリとした帰結にたどり着き、
 だから、

(私の魔法をどうやって打ち消したのか不明だが……カウンターではない。あくまでも相殺させただけ。そういうスペシャルなのか、それとも特殊な魔法なのか、その辺はいっさい不明だが、しかし、ただ『打ち消すだけ』ならば、実際のところ、どうとでもなる……)

 アギトは、注意深くゲンを観察する。
 不可解さに混乱するのではなく、
 不可解さを踏まえた上で頭を使う。

(あのガキ……明らかに、先ほどよりも疲弊している……)

 顎が前に出て、
 呼吸が乱れて、
 顔色がわるい。

(あくまでも予測だが……先の『魔法を打ち消す何かしら』は重度の疲弊を伴う。よって連発できるものではない……仮に、あと何度か使えたとしても、無限ではないだろう)

 そう予測をたてると、
 アギトは、全身の魔力を充実させて、

(当たるまで、撃ち続けてやる。死ぬまで殺し続けてやるよ)

 頭をシフトする。
 冷酷に、単純に、
 ただの命を奪う道具になろうとする。

 ――と、その時、



「お兄様、ストップ」



 ゲンとアギトの間に、
 ロコが割って入ってきた。

 アギトは、ロコをギロリと血走った目でにらみつけ、


「……なんのつもりだ。邪魔だ、ロコ。というか……私に命令するな。何様だ」


「今、コレを壊そうとしましたね、お兄様」

 ゲンを指さしながらそう言うロコ。

 アギトが反論の言葉を口にするよりもはやく、
 ロコは続けて、

「どうやら、お兄様の魔法は不発だったようですが、もし、ランク20を超える魔法が普通に発動していたら、間違いなくコレは死んでいました」

 さらに、畳みかけていく。

「言っておきますけど、コレはあたしの所有物。そして、現状のルールで、コレを壊すことは、理にも利にもかなっていない。事故であれ、故意であれ、壊したとなれば、当然、賠償金を支払っていただきます。その額は、先ほどお兄様がコレに提示なされた額の『10倍』はいただきますから、そのおつもりで」

 金で圧力をかけていくロコ。
 ふっかけかたが容赦ない。
 20兆円の請求予告という、えげつないボリ方。

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