『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

71話 イベントスイッチ、ON。

 71話 イベントスイッチ、ON。

「分身ランク3!!」

 魔法を使い、自身の分身を生み出すと、
 ゲンは、その勢いのまま、
 ためにためた魔力とオーラを、右の拳に全力でブチ込んで、


「「――ゲン・ワンダフォォオオオオ!!!」」


 叩き込んだ。
 全身全霊。
 渾身の一撃。
 今のゲンに可能な最大級の一手。

 それを、真正面から受け止めたダギーは、

「……ぅぐ」

 つい、声を漏らしてしまった。
 『何をされても、悠然と構えていてやろう』と思っていたのだが、
 あまりの衝撃に、思わずうめき声が出てしまった。

「……ぉ、重たい一撃だな……この拳……たんなる『ダサい必殺技名をつけただけの正拳突き』ではない」

 理解できた。
 『キチンとした実力者』だからこそ、
 ゲンの拳が理解できた。
 この拳の重さは、才能うんぬんによるものではない。

 確かに感じた積み重ね。
 数週間や数か月ではない。
 ――数年単位の積み重ね。

「……五歳やそこらのガキが……どうして『数年単位の積み重ね』を魅せつけられる……」

 誰もがいだかずにはいられない当然の疑問。
 ダギーは、子供だった頃から、なかなかストイックな方だったが、

「私に、できただろうか……この年の時期に、これだけの……」

 ボソっとつぶやきつつ、想像してみた。
 ダギーは、幼いころから、
 勉強も鍛錬も、人並み以上に頑張っていた。
 だからこそ、全宮学園クラスSに入れたし、
 最高クラスの成績で卒業できたし、
 全宮アギトという超越者の剣にもなれた。

「異常だな、ガキ……なにもかも」

 また、言葉が、ポツリとこぼれた。
 頭の中で考えた言葉ではなく、
 ただ、こぼれおちた言葉。

「精神力、資質、才能……そして、生まれながらの根性……なるほど、大したものだ。潜在能力で言えば、父親を超えている……」

 ダギーは『自分以上の才能』に対して『過剰な嫉妬心』を覚える男だが、
 しかし、何世代も下の子供に対して、バカみたいに嫉妬心を見せるほど、
 人間として壊れてはいない。

 いや、学生時代ならば、あるいは、とめどない嫉妬心にまみれていたかもしれないが、
 ダギーも、年をとって、立場も地位もあるオッサンになった。

 ゆえに『ゲンの潜在能力』に触れた『ダギーの心』に宿ったものは、

「お前は……どこまでいくのかな……」

 ゲンの『先』を見てみたいという欲求だった。
 その情動は、決して『ゲンの先を見るためなら何でもする』といったような狂気的な愛ではなく、『できることなら見てみたい』という軽い感情。
 ちょっとした思い。
 けれど、確かに宿った願い。


 ――まるでイベントスイッチでも入ったみたいに、
 ダギーの中で、ゲンに対する『無意識の質』に変動が起こった。


 だから、ダギーは、

「……剣気ランク8」

 スっと剣を抜いて、
 魔法でブーストをかけると、

「毒組は、剣の達人が三人いる部隊……そこに所属しているお前は、おそらく、高いレベルで剣の指導を受けていると見たが、どうだ?」

「……まあ、そうですね……受けていますね」

「なら、剣で来い……そっちも見せてみろ」

「……」

 ゲンは、一瞬、
 『相手が引いたルート通りに行動していくのもどうだろう』
 ――などと思いはしたものの、

「……まあ、いいか」

 そうつぶやきつつ、
 とりあえず、剣を抜いた。


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