センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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70話 ゲン・フォースの可能性。

 70話 ゲン・フォースの可能性。

「来い……お前の全部を見せてみろ」

 そんなダギーの言葉を受けて、
 ゲンは、

「――虹気!!」

 自分を解放する。
 最初からフルスロットル。

 虹色のオーラに包まれたゲンを見て、
 空間の外から観察しているアギトが、

「……虹気か……レアだな……」

 ボソっとそうつぶやく。
 別に驚いているというわけでもない。
 『珍しい』という感想以外は特に何も感じていない。

 ほかの面々も、現状のゲンに対して抱いている感想はその程度。

「輝きが薄い。レアなだけだな」
「いえ、そこそこの輝きですわ。ウルトラレアではありませんが、スーパーレアぐらいの評価をしてもよろしいのではなくて?」
「……気合だけは及第点だな」
「ま、確かに、少しは根性がありそうだが……」
「しょせん、ちょっと気合が入っただけのガキ……覆(くつがえ)せやしないさ」
「無意味な賭けだ」
「時間ばかりかかるルールにして……」
「私、忙しいんですけど、これ、いつまで見続けるの?」
「大人が子供を甚振っているだけじゃないか。なげかわしい」
「ま、あまり気分のいい見世物ではないな……」

 冷めた顔で、特に感情のない感想をつぶやく。
 ここにいるのは気品のあるメンツばかりなので、
 賭博黙示録に出てくる異常者連中のように、
 この状況を喜々として観察するようなマネはしない。

 他人の目がある状況で『凄惨なシーン』を目の当たりにして、よだれを垂らしながら手をたたいて喜ぶ人間など、そうそういない。
 内心で実は『ゲンがいたぶられているのを喜んでいる者』なら、この場にも、何人かいるが、少なくとも、人前で、その性癖を素直にさらすほどの愚者はここにはいない。

 ――虹色のオーラに包まれたゲンは、
 さらに、

「拳気ランク3!!」

 全力で拳にバフをかける。
 さらに、さらに、

「武装闘気!!」

 オーラの鎧を身にまとい、

「はぁああああああああああ!!」

 限界まで、魔力とオーラを練り上げていく。

 その様子を見ていたダギーは、
 心の中で、

「この年齢のガキが……ここまで……」

 素直に感心していた。

「私がお前と同じ歳だったころは……ランク2の魔法を覚えるので精いっぱいだった……ムカつくな……」

 そして、素直に嫉妬もしていた。

「なぜ、私が一番の天才ではない……」

 沸き上がってくる自己嫌悪。
 自分に対する強い期待と、
 期待には応えられない弱い自分とのジレンマ。

「一番でなければ意味がない……だが、私は一番ではない……」

 ゲンの資質を目の当たりにしたことで、
 ダギーの中で、感情がグルグルと渦をまく。

 これは決して珍しい光景ではない。
 これまで、ずっと、ずっと、ずっと、
 才能のある人間を見るたびに、
 この感情にさいなまれてきた。

 いつまでたっても、
 ダギーは、自分が許せない。
 世界一ではない自分が許せない。


 だからこそ、ダギーは、ここまで来られた。


 弱さを飲み込んで、痛みとともに、
 一歩ずつ、一歩ずつ、
 その歩を前へ、前へと進めて、
 どうにかこうにか、
 今日という日までたどり着いた。

 ――そんなダギーの視線の向こうで、
 ゲンは、さらに、

「分身ランク3!!」



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