『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

66話 ババーン!  ロコ、タイキック。

 66話 ババーン!  ロコ、タイキック。

「負けた方が勝った方に個人資産の6割を差し出す……これが賭けの条件だ。異論は認めない」

「えぇ……よろしいのですか、お兄様。……『あたしの資産』と『お兄様の資産』では10倍近い差がありますけど?」

「……『一般人のガキ』を相手に『一級の大人』をぶつけてギャンブルをしようというんだ……その程度のリスクは背負わんと、さすがにアンフェアが過ぎるだろう」

「あははっ、この状況で、フェアもクソもないでしょう」

「根本的に『この賭け』は、お前に対する罰――資産没収の透明化でしかない」

 ありていに言えば、この状況は、
 『笑ってはいけない』における、田中のタイキックみたいなものである。
 『賭け』という形こそ整ってはいるものの、罰から逃れることはできない。

 そんなことはロコもわかっている。
 ロコは非常に賢い子。
 ゆえに、すべて理解している。
 理解しているからこそ、
 ロコは優雅に微笑んで、

「お兄様の個人資産の6割……となると、500億くらいでしょうか。あはは、お小遣いが一気に増えますわね」

 などと言ってのける。

 アギトは、最後まで引かないロコに対し、

「ロコ、お前に勝ち目などない。私とお前が本気でぶつかったら、100%私が勝つ。自覚しろよ、ロコ。――支配領域は最小。現スペックも最弱。そして資産も雀の涙。理解しろ、ロコ……お前はただのガキだ。『全宮に生まれてきた』というだけで、他には何も持たない、何も出来ない、何も成せない……そういうただの幼女だ」

 言いたいだけの事を口にする。
 ダラダラと、色々な言葉を使ったが、本当のところ『言いたい言葉』は一言。
 『ガキが、調子にのるな』
 それだけ。

 アギトのメッセージに対し、
 ロコは、

「もちろん、理解していますわ、お兄様」

 そう言ってから、
 その視線を、ゲンに向け、

「勝てば500億のアガリになるギャンブル。その主役があなた。どう? 震えるでしょう?」

 そう声をかけてきた。
 ゲンは、

「ええ……まあ……もちろん、震えていますよ。ここで飄々とできるほどの精神力は有しておりませんゆえ」

 しっかりとキョドりながらそう言った。
 そんなゲンに、ロコは、続けて、

「あなたの取り分は……そうね、半分にしましょうか」

 などと、とんでもないことを口にした。


「はんぶ……えっ……」


「勝てば200億以上という大金が手に入るわよ」

「にひゃ……いや……えぇ……」

 この世界においては、『五大家の人間』として生まれていない限り、
 数百億という単位の金を稼げるチャンスはない。

 目の前にふってわいた望外のチャンス。
 ゲンの頭の中で、

(200億あれば……)

 闇市のラインナップが頭の中を駆け巡った。
 人間とは、文字通り『現金』なもの。

 頭の中が、『欲』の熱で満たされる。
 ちなみに、言うまでもないが、
 ゲンの中でうずまく『欲』は、
 『強さ』に対する『渇望』である。

「ここで勝てば、あなたの人生は変わる。大金だけあっても意味はないけれど、大金を抱かなければ見えない景色もある。だから……がんばりなさい」

 試すような笑顔でそんなことを言うロコ。

 その言葉を受けたゲンは、

(……勝てば、間違いなく人生が変わる……ここが、俺の人生の分岐点……)

 ゴクっと唾をのんだ。
 ドクンと心臓が高鳴る。


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