『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

65話 死刑。

 65話 死刑。

 『ロコの発言』を聞いたゲンは、心の中でつぶやく。

(……『それ』が、ロコの目的だ……『現状の五大家が当然のように望む未来』……ロコはそれを忌避している)

 具体的に、ロコを理解しているわけではないが、
 しかし、ゲンには何となく、ロコの気持ちがわかった。

 ハッキリとした明言化は難しいけれど、
 『たぶん、こうだろう』という感覚的な把握は出来た。


(ロコの『想い』を、五大家の人間が理解することは出来ない……ロコが目指す未来と、五大家に属する人間の思考は、完全に相反しているから)


 ――簡単に言おう。
 ロコは『ゼノリカ』が欲しいのだ。

 『ゼノリカの存在を知っていて、その実権を望んでいる』――というわけではない。

 ロコは、まだ、ゼノリカを知らない。
 ここでいうところの『ゼノリカ』は、すなわち、完成された比喩。
 ようするに、ロコは、
 『ゼノリカのような組織を作り上げたい』と願っているのだ。

 『あまたの命が五大家の家畜として消費される世界』ではなく、
 『心に善を抱く者が、例外なく、輝く明日を想える世界』がロコの望み。

 必要悪などなくとも合理だけで世界を回そうとする覚悟。
 不条理や不合理を抹殺し、努力が正当に認められる理想郷の渇望。

 ――その想いは、ゲンの『奥底』にも眠るもの。
 だから、少しだけ理解できたのだろう。
 誰にも理解できなかった全宮ロコを、
 ゲン・フォースだけは、理解できた。

「もういい……ロコ、お前がどうしたいか、私には本当にわからない。きっと、永遠にわからないままなのだろう。だから、もういい。正直、狂人の思想など、わかりたくもない」

 アギトはそう言い捨ててから、

「前置きが長くなりすぎたな……それでは『賭け』を始めよう」

「まだ、誰もやるとは言っていませんが?」

「逃げることはゆるさない。逃げるなら、お前には『家族会議を愚弄した罰』をあたえる」

「罰とは?」



「死刑だ」



「……おやおや、また随分と重たい罰ですわね、お兄様」

 この期に及んで、まだ、ロコは、態度を崩さない。

 この場で、いまだ『チョケたような顔つき』をしているのはロコだけだった。
 周囲は全員、静まり返っている。
 壁際に立っている特殊部隊の面々の顔は、みな、一様に重たく渋い。

 冷たい静寂が二秒流れた。
 その静けさを、アギトが破る。

「冗談でもハッタリでもなんでもない。この場で貴様の首を切る。誰も止めはしない。お前は、さすがにやりすぎだ。そして、家族全員から嫌われている」

「あらあら」

 死刑を宣告されていながら、
 しかし、ロコは冷静に、

「どちらかというと、死刑は嫌な方なので……その賭け、受けておきましょうか」

「負けた方が勝った方に個人資産の6割を差し出す……これが賭けの条件だ。異論は認めない」

「えぇ……よろしいのですか、お兄様。……『あたしの資産』と『お兄様の資産』では10倍近い差がありますけど?」

 ロコの資産が100億円くらいで、
 アギトの資産が1000億円くらい。

 『支配領域の運営費用』ではなく、
 あくまでも『個人資産』なので、
 そこまで膨大な額ではない。
 あくまでもお小遣いレベル。

 ゆえに、配下や民衆の了承等を得ずとも、
 ある程度は、自由に動かすことができる。

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