『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

60話 全宮ロコという異端。

 60話 全宮ロコという異端。

「あのガキの才能の有無なんざ知ったことではないが……『現時点における警護能力』が決定的に不足しているのは事実。この家族会議の場には、それぞれが、精鋭を連れてくるのが全宮家のルール。お前はそれを愚弄した」

「愚弄だなんて、大げさな。解釈の違いでしかありませんわ、お兄様」

 どれだけ怒りをむけられようと、
 ロコは、五歳児とは思えない威風で、

「ゲン・フォースは、いずれ全宮家が誇る『剣』になる男。その逸材を、早いうちから、大切な家族の皆様に知っておいてもらいたい。彼の存在を周知徹底させることこそ、全宮家にとって有益である……そう判断したまで」

 堂々と、

「仮に、あたしの判断にミスがあったとしても、それは、単なる『幼さゆえの過ち』でしかありません。過度な激昂や叱責を受けるようなたぐいのものではない……というより、そんな鬼の首でも取ったかのような顔で、幼女の可愛いミスを叱責したりなどして……恥ずかしくありません?」

 徹底して、的確に、
 ロコは、アギトのボルテージに圧力をかけていく。

「ロコ……最後にもう一度だけ聞くぞ。これは最後の譲歩だ。頭を下げるチャンスは、ここしかない。ここで蹴ったら、もう、私は、お前に対し、二度と、わずかも、譲歩しない。それを踏まえた上で答えろ」

 そこで、しっかりと、ロコの目をにらみつけ、

「……頭を下げる気は……いっさいないのか?」

 そう問いかけると、
 ロコは、一度目を閉じて、
 スゥと静かに息を吸った。

 その特異な『静けさ』を受けて、
 その場にいる誰もが理解した。



(((((マジか、このガキ……覚悟を決めやがった)))))



 もはや言葉はいらなかった。
 というより、どんな謝罪でも、もはや、釈明には至らない。
 この空気感。
 ロコの覚悟は、すでに、蔓延した。
 もはや、誰も、ロコの覚悟を疑わない。

(おいおい……本気で全宮家にケンカを売る気か?)
(たいした武力も金も持たず……たった一人で、エリアB全てを敵に回す覚悟を決めるとは、正気ではない……)
(エリアBだけではない……全宮の敵になるということは、完全院や罪帝も敵にまわすということだぞ)
(やめておけ。まだ間に合……わないが、しかし、やめておけ)
(家族同士で流血沙汰……間違いなく、完全院の連中にバカにされる……恥の上塗り……ああ、みっともない……)

 ロコの覚悟に対し、みなが様々なことを想う。
 言葉にはしない。
 そういう場ではない。

 ゆえに、その静寂は、数秒間、キーンと上質な無音を奏でた。

 数秒後、静寂を裂くように、
 ロコが、カっと目を見開き、

「ごめんなさい、おにいさま」

 そう言って、ペコっと軽く頭をさげてから、
 すぐに顔をあげて、

「あたし、バカだから、お兄様が、なぜ、そんなにも怒っているのか、さっぱりわかりませんわ。てへ」

 かわいらしく舌を出すロコ。

 周囲の者は、みな、一様に、苦い顔になっている。
 ロコの徹底した態度を受けて、
 みなの心の中に浮かんだのは、

(((((……なぜ、そこまで……)))))

 正直、この場にいる全員が、
 『途中でロコが折れるだろう』と思っていた。

 ロコの賢さは、誰もが理解している。
 ロコはアホの子ではない。
 気持ち悪いくらい聡明な天才児。

 ゆえに、みな『ロコの無茶』は『途中でブレーキがかかるだろう』と予測していた。
 簡単に、一言で言えば、ここにいる全員が、ロコの異常性をナメていた。


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