『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

34話 技の向こう側。

 34話 技の向こう側。

「――死ね、ごらぁああ!!」

 死にゲーの飛びかかりのような勢いで、
 『頭がおかしい』と一目でわかるパンクなにーちゃんが、
 ソウルさんに殴り掛かった。
 あまりにも唐突な出来事――しかし、

「お前に殺されてやるほど、私の命は安くない」

 ソウルさんは、サラっと、

「ぎやぁぁあああああ!!」

 パンクなにーちゃんを真っ二つに切り裂いた。

 荒々しく血しぶきが舞う。
 不思議と、まったくグロくなかった。
 ソウルさんの剣は、どこか芸術的な美しさを感じさせた。

 だから、目の前で『人の死』を目の当たりにしたというのに、
 ゲンは、そのことについて、わずかもショックを受けている様子はなく、

「……さすがですね」

 惚れ惚れとした感じで、心からの賞賛を口にした。

「こんなカスを倒した程度で父を褒めてはいけない。お前の父はもっとすごい」

「それは心強い」

 俯瞰で見れば異常極まりない親子の会話。
 いびつなほどゆっくりと流れていく時間。

 ちなみに、今は親子水入らず。
 ヒジカとオキは、先んじて、ビル内の調査にあたっている。

 ――エレベーターは止まっていた。
 階段を、上へ、上へと進んでいくと、
 だんだん、死の濃度が高くなっていく。

 ――最上階付近にたどり着いた時、ゲンの耳に、激しい音が届いた。
 同時に、魔力の波動を感じる。
 オーラが弾け合っている感覚。

(……手練れ同士が闘っている……)

 『安い音』ではなかったから、
 戦闘シーンを見るまでもなく、そう確信できた。

 ソウルさんは剣を抜き、階段を上がるペースを落とす。

「ゲン、決して前に出すぎるな。今日、この瞬間における『お前の仕事』は、カナリアではなく見学だ」

「わかっていますよ」

 言葉を交わし合ってから、
 ゲンとソウルさんは、音の発生源へと向かう。

 ――そこでは、


「やるじゃねぇか」
「その覚悟だけは見事と言っておきましょう」


 ヒジカとオキが、
 真っ赤なオーラに包まれている男と戦っていた。

 とてつもなく激しい剣戟。
 空間を跳ねまわりながら、
 剣の嵐が巻き起こっている。

(……つ、強ぇ……あそこにいる三人とも……ハンパじゃなく強い……)

 生まれて初めて見る『強者の闘い』。
 スライムを殴り続けるだけでは絶対にたどり着けない『技』の向こう側。

 ヒジカもオキも、
 確かに、とてつもない天才だった。

(たどり着ける気がしないほどの……美しさ……)

 『どれだけ』の時間を積み重ねたら『あの領域までたどり着けるのだろうか』と、真剣に『期間』をイメージしてみようとした。

 しかし、見えなかった。

 今のゲンには、イメージすら出来ない領域。
 それが、ヒジカとオキがいる世界。
 そんなヒジカ&オキの両者と、
 たった一人で互角に戦っているのは、


「げははははははは! とっても、とっても、いい感じぃ! 死ぬにはいい日だ! 絶好調ぉおお! げははははは!」


 全体的にひょろ長いが右腕だけは太いという、
 奇妙なボディスタイルのラリった男。

 その男は、途中で、
 ソウルさんとゲンの視線に気づいたようで、

「おっとぉ! 新しいお客さんだぁ! 嬉しいねぇ! 俺はギルティブラッドのルス! 今日で終わる男だ! さあ、あんたらも一緒に踊ろう! 俺の最後を! 派手に飾ってくれぇえええ!」


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