センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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24話 俺はもう一人で生きていける。

 24話 俺はもう一人で生きていける。


「赤ちゃんのころと比べたら、ずいぶんとたくましくなったけど……これでも、身長は、お隣のケルバ君の半分以下なのよねぇ」
「どうやら、ウチの子は成長が遅いタイプらしいな。まあ、焦らなくても。そういうタイプの子は、成長期になれば一気に伸びる」


 貧弱で小柄な息子に対して、
 心配を隠せていない両親。

 そんな両親の顔を交互に見てから、
 ごほんとセキをはさみ、

「……と、とにかく、そういうわけで、俺も、いい加減、いい歳なので、今日からは親離れして、一人たくましく生きていこうと思います。では」

 さよならを告げ、きびすをかえすゲン。
 当然のように、その首根っこをつかむソウルさん。

「ワケのわからんことを言っていないで、そろそろ寝なさい。歯を磨くのを忘れるな」

「やれやれ……子離れできない人は、これだから困る。いいですか、ソウルさん。あなたの息子は、すでに一人で生きていけるのです。今日から俺は、裏カジノという鉄火場で、しのぎを削る伝説的博徒としての道をひた歩んで――」

 と、そこで、
 ゲンは、ソウルさんが、


「……」


 『ゲンの目を真剣なまなざしで見つめている』ということに気づき、

「……ど、どうしました?」

 そう声をかけると、
 ソウルさんは、ゆっくりと口を開き、

「なぜ、一人で生きていきたい?」

 否定や拒絶を押し付けるのではなく、
 『理由』を問いかけてきた。

 『本気の対話を望んでいるのだ』と一目で理解できる態度。
 だから、ゲンは、

「俺はすでに、一人で生きていけるからです」

 真摯な態度で臨むことにした。

 ソウルさんが、ゴリ押しを仕掛けてきた場合、
 どうにかして逃げ切ろうと考えていたが、
 相手が『本気の対話』でかかってきたのなら、
 逃げるわけにはいかない。

「俺はもう一人で生きていける。なら、一人で生きていくべきだと考えます」

「それは理由ではないな」

 ソウルさんは、そう前を置いてから、

「私の意見を言おう。私はどちらかといえば過保護な部類に入ると思うが――しかし、だからといって、無暗やたらと『子供は、親に守られていればいい』などとは思っていない」

「非常に素晴らしい」

 拍手をするゲン。
 そんなゲンに対し、ソウルさんはまっすぐな目で、

「しかし、親には子供を育てる義務がある」

 ピシャリと言い切って、

「私の義務を、特に理由もなく勝手に取り上げるな、ゲン」

 強い目でゲンに親としてのメッセージを投げかけてくるソウルさん。
 ゲンは負けじと、

「理由はあります。俺は自由になりたい。孤高でありたい」

「……お前は本当に変わった子供だな」

「いやぁ、それほどでも」

 照れるゲン。
 呆れるソウルさん。

 妙な空気感の中、
 ソウルさんは、ゲンの目を見つめたまま真剣な顔で問いかける。

「ちなみに、この家を出て、何をするつもりなんだ?」

「だから、カジノという鉄火場で――」

「ちゃんと答えなさい」

「ちゃんと答えていますよ。カジノの闘技場に参加します。そこでお金を稼ぎ、五大家に実力を認めてもらい、重職について、大金持ちになる……それが俺の人生設計です」


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