『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

63話 凶悪なデバフ。

 63話 凶悪なデバフ。

 ゴミスの『実力・潜在魔力』では不可能な圧倒的上昇率。
 その急激極まりないパワーアップを目の当たりにして、
 アモンは即座に確信した。


(や、やりやがったな、あの性悪ババァ……)


 不満と憤怒に包まれる。

 ――アモンは知っている。
 自分の上司がハンパではないことを熟知している。
 もちろん『いずれは超えられる相手だ』と認識しているが、
 10歳の現時点では、まだ、ドナやパメラノといった完璧超人たちには敵わない。

 そんな『絶対に敵わない超越者』の『渾身のバフ』を受けているのが現在のゴミス。

(ドナ猊下がフルマックスで積んだバフ……や、ヤバいな……)

 ジワっと、こめかみに汗が浮かんだ。

 九華の中でも最上位クラスの支援パフォーマンス。
 バフデバフと暗殺と拷問のスペシャリスト。
 後衛を任せた時の安心感がハンパない、破格のスペックを誇る地獄色のバラ。
 それが、九華十傑の第十席・序列三位エキドナール・ドナ。


(――ん? あ……っっ)


 そこで、アモンは気づく。
 自分の体が、ジンワリと重くなっていることに。

(おいおい、ちょっと待ってよ……向こうに対して、あれだけハンパない強化魔法をかけているっていうのに、こっちにも、デバフをぶっこんでくるのかよ……)

 気づけば、魔力が荒れて、オーラが乱れる。
 秒を重ねるごとに、全身が重ダルくなっていき、
 キリキリとした頭痛と、ジトっとした粘質性の眠気に襲われる。

(待って、待って、待って……えぇ、ウソだろ?! あのババァ、どんだけ重ねがけしてんの……やばい、やばい、やばい……)

 軽くフラつきはじめたアモン。
 足も腕も重たく、
 視力も落ちてきた。

 そんなアモンの背中に、
 ドナが優しく声をかける。




「がんばれー」




(ウザっ!)

 歯噛みして、人殺しの目になるアモン。
 心の中で、ドナに対する不平不満を漏らしつつも、
 アモンは、ただのクズではないので、
 とんでもない状況になってしまった――という事をキチンと受け止めて、

(い、いくらなんでも、ハンデキャップが過ぎる……ドナ猊下の全力デバフを受けた『今の状態』だと……正直、愚連の連中にだって勝てるかどうかわからない……かたや、向こうは、ドナ猊下の全力バフを受けた状態で、『さすがの僕でも調子が悪い時なら普通に負けるだろ』ってくらい超絶パワーアップしている……や、ヤバすぎる……少しでもヘタをこいたらガチで死ぬ……っっ……気合を入れなおせ! ここからは、本当の死闘だ!!)

 ダラダラッと、本気の脂汗がにじんだ。
 覚悟という重圧。
 今日まで、『楽連』という『武の地獄』で生きてきたので、
 実際のところ、『この重圧』にも多少は慣れているが、
 しかし、慣れているから『軽い』というわけではない。

(全身全霊……僕の全部で、この困難に立ち向かう! 僕ならば超えられる!)

 本気で気合を入れるアモン。
 その姿を見て微笑みを強めたドナが、

「アモン。貴様の喪失はゼノリカにとって大きな不利益……というわけで……」

 そこで、トーンが一気に落ちて、
 底冷えする声で、

「死んだら殺す」

「……ぃ、いえす、まむ」

 震えながら、
 アモンは両の拳を握りしめた。

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