『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

56話 お話にならないザコ。

 56話 お話にならないザコ。

「さあ……行こうか」

 そうつぶやいて、
 ゴミスは、グンと足に力を込めた。
 豪速のダッシュで距離をつめると、
 オーラを込めた右の拳でアモンの顔面めがけてストレートをぶちこもうとした。

 先ほどとは違い、気合の入った一発!
 ――それを、アモンは、

「なに、その直線的すぎる一手……バカじゃないの?」

 心底バカにした口調でそう言って、
 ゴミスの右ストレートを左手の甲ではじきながら、
 円運動に身をまかせつつ、ゴミスの懐にみ込むと、

「はっ!!」

 流れるように、ゴミスの腹部へ、爆速の肘をぶちこんだ。

「がっはぁああああああああああっっっっ!!」

 吐血の噴水。
 全身に激痛。

 ゴミスの視界が、黒に汚れた赤に染まる。

 アモンは、いまだ止まらない円運動の中で、
 厳かに武を整えながら、

「動きが硬い……お前、強者との戦闘経験がほとんどないだろ。わかるんだよ、僕くらいになると」

 上から言葉を降らす。
 とても十歳の発言とは思えない、器のある言葉。

 そんな言葉など、
 今のゴミスの耳には当然届いていない。

「ぐふ……かはっ……おえっ……うぐぅ……」

 ただただ苦悶の表情を浮かべ、
 必死に、回復スキルで、腹部の回復にいそしんでいる。

 ゴミスの『基本ビルド(先天的資質)』は、きわめて純粋な前衛特攻型で、魔法が得意なわけではない。
 よって、高次の回復魔法は使えない。
 だから、今やっているのも、自己治癒能力を魔力やオーラでブーストさせる程度。
 仮に、腕を切断などされた場合、再生させる手段は持ち合わせていない。

 『その程度の相手』は『アモンの視点』で言えば、お話にならない。
 だから、当然、アモンの口から出る評定は、

「本音言っていい? お前、弱すぎ」

 呆れが混じった落第点となる。
 『圧倒的強者の特権である優越感』よりも『ザコの相手をしなければいけないダルさ』の方が勝っていると思われる明瞭な表情とタメ息。

「これじゃ、サンドバッグとかわらない。『お前を倒しました』って易い功績だけじゃあ、当然、上になんて上がれない。……あーあ、やる気、さがったぁ……」

 ガキらしく、コロコロと表情をかえながら、
 好き勝手なことをほざくアモン。

 アモンは、ゼノリカというケタ違いの高次ステージで、必死に研鑽を積んできた超越者だが、しょせんは、まだまだ10歳のガキ。
 同年代と比べれば、間違いなく、群を抜いて大人びてはいるが、ガキであるという事実に変わりはない。

 ゆえに、その生意気さは、ナチュラルに、大人の癪に障る。
 アモンの事をどう認識しているかは関係なく、
 脳の深部にピリっとした電気が走る。

 ようするには、
 アモンの言動に対し、
 ゴミスは、心底イラついてきて、

「な……ナメんじゃねぇぞ! くそがぁああ!!」

 今度は、ブッパをかますのではなく、慎重にアモンとの距離を詰めて、
 小技の削りや、発生の早い技での牽制を挟んで、
 丁寧に殺し合いをメイクしていこうとするが、

 アモンは、きわめて正確に、ゴミスの一手を処理していく。

「ナメずにお前と戦うのは……難しいなぁ。なんせ、ナメちゃいけない理由がないからさぁ」


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