『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

35話 絶対にイヤだ。


 35話 絶対にイヤだ。

「シューリは俺より要領も器量もいい。俺なんかよりも、ずっと優秀な指導者になってくれるだろう。こいつの言う事を聞いていたら間違いはない。つまりは、仮に、俺が死んだとしても、そんなことは、ゼノリカにとって大した問題ではないってこと。だから、俺の心配とかするな。大丈夫だから」

 一拍の沈黙が流れた。
 1秒ちょっとの、わずかな時間。

 その重たい1秒の直後、
 平が、大粒の涙を流しながら、

「……い、やだ……」

 心の声を漏らした。
 悲鳴、慟哭……どんな言葉で飾っても表現しきれない、
 『心の痛み』――その具現。

「絶対に……イヤだ……」

 ボロボロと、
 とても超越者とは思えない、
 子供でもそうそう流さない、濁流のような涙。

 それを受けて、
 センは、普通に動揺して、
 だから、頭をかき、
 丁寧に言葉を練り上げて、

「そんなに嫌ってやるなよ。確かに、シューリは、ちょっとメンドくさいところがある厄介な女だが、実際、俺よりもはるかに優秀で――」

 などと、
 完全にズレたコトをぬかしている神に、
 平は叫ぶ。





「あなたを失いたくない!!」





 セキが切れたように、

「あなただけがボクの神! その背中だけを追い続けて、ボクは、今日まで生きてきた! もし、その背中を失ってしまったら! ボクは『すべてのボク』を失ってしまう!」

「なんでやねん………………こんなシンプルにつっこませるなよ、はずかしい。俺が死んでもお前は――」

「何もわかっていない! 師は! あなたは! 自分の価値が! その尊さが! 何一つわかっていない!」

 平はブチ切れていた。
 『わからずやの神』に対して、あふれる怒りが止まらない。

 平の心情を言葉にすれば、次の通り。

 ――『自分の心臓』が『体の外』へと飛び出して、
 『猛獣だらけのサバンナ』に遊びにいこうとしている――

 護衛をつけたくなる気持ちは当然。
 しかし、神はそんな平の心情が理解できない。

 神はいつだってそう。
 『己の強さ』は理解していても、
 『己の価値』はまるで理解していない。

 全知全能どころか、自分のことさえわかっていないのに、何が神か。

「わずかでも! 1%でも! たとえ、0.0000000000000001%という『万が一』を遥かに下回る『天文学的な低確率』だったとしても! 『あなたを失う可能性』が僅かでもあるのなら、ボクはあなたの盾になりたい! 希望や願望の話じゃないんだ! これは命の義務! ボクという個における絶対的な魂の勅命! ボクは絶対に、『あなたを守って死ぬ盾』にならなければいけないんだぁあああ!!」

「イカれてんな……お前が『俺の弟子』じゃなかったら、とっくに背を向けて逃げ出しているところだぞ。怖すぎる」

 『狂信者仲間』の『熱い発言』に対し、
 アダムが『うんうん』と頷いているのも怖すぎた。

 『いったいなにがお前たちをそこまで掻き立てるんだ』と心の中でつぶやく神。

 そんな神に、
 平熱マンは、

「師を守るための力が欲しい!」

 望みを叫ぶ。
 『それ以外はいらない』という覚悟を込めて。

「せめて盾になれる力が! 『それ以外』は『何も』いらない! 『これまでに磨いてきた力』が通じないというのなら『それ以上のイカれた何か』を望むまでぇええええ!」


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