センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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21話 全員集合。


 21話 全員集合。

「平か。俺だ……挨拶は不要、さっそく本題に……ん? 何を、そんなに喜んで……はぁ?」

 センの声を耳にしたとたん、平熱マンは涙ながら歓喜を叫んだ。

「落ち着いて喋れ。これは命令だ」

 数秒かけて、落ち着くのを待ってから、

 よくよく話を聞いてみると、
 どうやら、現在の裏ダンジョン・ゼノリカには、
 消えたセンを心配し、
 『原初の世界に来ていた全ての面々』が集まっているとのこと。

 外で仕事をしていたUV1も、ドナも全員、あますことなく全員集合。
 ※ もともと『原初の世界に来ていないメンツ』はいない

 ゼノリカに全員集合の命令をかけたのはもちろんアダム。
 冒険の書を『扉』にセットした直後、
 忽然と消えてしまったセンを心配し、


『緊急事態だ! カスみたいな仕事は全部放棄して、今すぐ、帰ってこい! 一秒でも遅れた虫ケラは、重々々反逆罪で一族郎党皆殺しだぁああ!』


 何があっても対応できるよう即時・緊急召集をかけた。

 セン不在時のトップである『アダム&シューリ』は、
 センと違い『ゼノリカの面々を使いつぶすこと』に躊躇しない。

 人海戦術サーチ用としてはもちろん、
 必要とあらば、カナリアのように、ザコを前線に出して肉壁にもするし、
 無慈悲に『エネルギーを抽出するためだけの道具』として使い捨てもする。

 アダムにとってもシューリにとっても大事な相手は一人だけ。
 彼女たちのスタンスは、いつも一つ。


 ――センエース以外はどうでもいい。


 彼女たちにとってゼノリカなど、ただの道具。
 クソザコばっかりで『質』は低いが『数』だけはやたら多い、そこそこ便利な消耗品。


「……クソ過保護ども……恥ずかしいことしやがって」


 センは、軽く頭を抱えてから、

「まあいい……俺は無事だ。というか、俺の心配などしなくていい。無意味だ。――そんなことより、『Q‐8ゲート』をサーチして外にでろ。そこに俺はいる。あ、あと、集まっているならちょうどいい。他の連中には『ゼノリカ内部に何か変化はないか』を総出で探らせろ。以上だ」


 と、命じてから二秒後、


「主上様! ご無事で?!」
「だから、準備をしてからにしなちゃいと、あれほど――」

 ぐだぐだと姦しい女神二柱が登場し、
 ワーワー言ってきたのを、
 センが適度になだめていたところに、



「――お待たせして申し訳ありません、師よ」



 救いのヒーローが現れた。
 センは、これ幸いとばかりに、
 アダム&シューリから視線をそらし、

 この騒がしい空気を払拭しようと、
 少し大きめの声で、
 テンション高めに、



「遅ぉおおい! 『俺が命令する3日前から赤絨毯を引いて待機しておく』ぐらいの気概をみせろ! それが俺の弟子になるということだ!」



 空気をかえるための、まろやかなギャグ。
 それ以上でもそれ以下でもない戯言だったのだが、
 平は、


「おっしゃるとおりでございます。心から陳謝いたします。この命でもって謝罪を――」


 『しごくごもっとも』という態度で、真摯に頭を下げて、
 スっと剣を抜いて、自分の首に向けようとする平。

 センは、ほんのり渋い顔をしてから、


「……あー、俺からしかけておいてなんだが、悪ノリはそこまでだ。さっそく本題に入るぞ」


 気まずそうにそう言った。

 『やかましい女二人から逃れるため』、
 プラス、
 『緊急事態ではあるが、師はいつも通りである』
 という所を見せようとしたものの、

 大胆に空回りをしている――というわけのわからない状況が現状の真実だった。



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