『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

9話 あっぱれ、褒めてつかわす。


 9話 あっぱれ、褒めてつかわす。

「ちょっと小突いただけ。褒められるようなことじゃ……ってか、お前、何、上から言ってんだ。お前に褒められたって、ちっともうれしくねぇよ」




「そうか。なら、これではどうだ?」



 そう言って、
 少しだけ、
 ――ほんの少しだけ、
 ――シーバンにだけ届くよう、ほんのわずかに、

 いと高き神気を開放した。


 その瞬間、


「っっ??!! ――がぁ……っ……!!」


 シーバンの脳髄に、ズガンと衝撃が走った。
 目の前で膨れ上がった『何か』に対し、
 魂が震えあがり、
 心が『いつもの居場所』を見失った。


「ぁ、ぁ……」


 光だった。
 とても、とても、大きな光。
 まるで、すべてを包み込むような、
 そんな、とてつもなく尊き輝き。

 ――光の主は、穏やかな口調で、



「お前の想い、お前の覚悟……そして、お前が積み重ねてきた強さ……しかと、この目で見届けたぞ。あっぱれ。褒めてつかわす」



 ただの言葉のはずなのに、
 一語一句が、脳の深い部分に触れてくる。

「ぁ……ぅ……ぅうう……」

 言葉をつむげない。
 ただ、圧倒される。
 その大きさに、
 その尊さに、

「センBの調整に付き合ってくれた褒美に、冒険の書はくれてやる。『アレ』は俺がつくったパチモンだが『あのふざけた扉』以外に見抜けるやつはいない。売れば相応の金になるだろう」

 渡す前にすり替えておいた。
 扉のカギとしてはまったく機能しないゴミ。

 しかし、その冒険の書は、センエースの手によってつくられた、この世にただ一つだけの究極超神器。
 付加価値を考えれば、
 『本物の冒険の書』なんかよりも、はるかに価値の高い至宝。

 『その事』が、シーバンには理解できた。
 シーバンほどの知性がなくとも、この光に触れた者であれば、誰だって理解できる。

 だから、シーバンは、
 慌てて、アイテムボックスに手をつっこみ、
 センから与えられた『冒険の書』を取り出して、
 すがりつくように、しっかりと、強く、強く、胸に抱いた。

 かき抱かずにはいられなかった。
 無機質な素材のはずなのに、
 神々しい暖かさを感じた。

 そしてシーバンは、反射的に、子を守るトラよりも獰猛な目で、周囲をにらみつける。

 今のシーバンにとって、
 これを奪われることは、心臓を奪われることと同義。


 そんなシーバンに、
 この上なく尊き神の王は、

「じゃあな、シーバン」

 そう言って踵を返そうとする神に、
 シーバンは、

「ぁ、ぁの……名っ……」

 声がうまく出てこないのか、
 ハッキリと発音できなかったが、

「名ま……名まっ――」

 何を聞かれているのか理解できたセンは、



「書いてあるだろ」



 そう言って、その場から姿を消した。
 褒美はくれてやった。
 それ以上のサービスは過剰。
 神は自分を安売りしないのだ。

「ぁ……ぁ……っ」

 シーバンは、あわてて、冒険の書に書かれている名前に目を向ける。

 そこには確かに記されていた。
 尊き神の名――


「セン……エース……」


 その日、シーバンは神を知った。
 この上なく尊き神の王に触れた。

 その事実により、彼の人生は大きく変わる。
 が、それはまた別の話。



 ちなみに、シーバンと戦った『極限まで弱体化されたセンB』が、
 メービーのもとへと向かうことになるのだが、
 それもまた、別の話である。


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