『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

4話 アバターラ、見参。


 4話 アバターラ、見参。

「さっさと冒険の書を出せ。抵抗するなら……」

「いや、抵抗はしないよ。『俺』はお前に手を出さない。俺にとっては、冒険の書よりも、こいつらの方が大事。こいつらが『俺のもとからいなくなる可能性』が少しでもあるのなら、俺は常に『そうならないための選択肢』を選ぶ」

 そう言って、センは、冒険の書をさしだした。

「ふふん、賢明な判断だ。お前は『優秀なわけ』でも『強いわけ』でもないが、しかし、多少は気骨のある男だと認めてやる。女の前だからといって『かっこつけて暴れるだけ』が『男の度量』じゃない」

 そう言いながら、センの手から冒険の書を奪い取る78番。

「一応言っておこうか。委員会に『強奪された』と泣きついても『奪われるお前が悪い』と怒られるだけだぞ」

「知っているさ。事実、奪われるやつが悪い」

「いい心がけだ。くく……冒険の書を手に入れる前に、カモに出会えて助かったぜ。冒険者になってしまった後だと、お前というカモの存在を知ったとしても手は出せなかったからな……くくく、ははは! 僥倖、僥倖!」

 高笑いしながら、冒険の書をアイテムボックスにしまいこみ、
 センに背を向けて、去ろうとしたところで、

「……ん?」




 ――目の前に『センそっくりの青年』が立っていることに気づいた。




 その瓜二つの姿を見た78番は、そくざに、

(ほう……分身か……)

 センが分身の魔法を使ったことに気づき、
 丹田に力を込めて、
 魔力とオーラを充満させていく。

 78番は、冒険者試験の二次で9位という好成績をとった超人。
 二次で『運が良かった』のも事実だが、
 しかし、78番は、予選も一次試験も、同じくらい上位の成績でクリアしている。
 ※ 予選も一次も『ランキングがつく形式』ではなかったが、
   委員会が集計したデータによる、内部レートは存在する。
   78番の内部レートは、予選・一次ともに上位トップテンに入っている。

 78番は、したたかなだけで、
 クズの犯罪者ではない。

 彼はあくまでも、世界のルールにのっとって行動している。
 先ほどの強奪撃を日本人の倫理観をもって俯瞰で見れば、
 理不尽なカツアゲに思えるが、
 この世界の倫理観に照らし合わせてみれば、
 『冒険者でありながら、簡単に冒険の書を奪われる方が悪い』となるのだ。
 だから、センは、彼に罰を執行したりはしない。
 78番は何も悪いことはしていないから。
 『罪をおかしていない者』に罰は執行できない。

 ――だが、悪いことをしなければ、なんでも許されるかというと、
 もちろん、そういう話でもない。

 行動には代償がともなう。
 因果をナメてはいけない。

 罰は執行しない。
 しかし、
 『感情』は執行させてもらう。


「ふん……やる気か。バカが」


 78番はそう言いながら、ゴキっと指の関節を鳴らし、


「しょぼい分身だ……この程度で俺をどうにかできるとでも?」

「その分身でお前を倒すのは難しい。なんせ、あまりにも弱すぎるから。戦闘力も存在値も、お前よりもはるかに劣っている。普通に考えたら絶対に無理。『そいつ』は、そういうレベルの分身だ」


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