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21話 ラージャン・エグゾギア‐システム。


 21話 ラージャン・エグゾギア‐システム。

「――ぎぃいああああああああああっっっっっ!!」

 狂気のエネルギーにさらされて、
 P型センキー・ゼロオーダーを構成している粒子が、ホロホロと解けていく。

「う……うぐぐぐぐぐっ! ぐぅううあああああ!!」

 自動回復が追い付かない。
 どんどん外殻が削られていく。

(やばい……死ぬ……っっ……ちっ……しゃーねぇ……)


 『このままでは死ぬ』と理解したP型センキー・ゼロオーダーは、
 仕方なく、切り札の一つを切る。


「――ラージャン・エグゾギア‐システム、起動!!」


 宣言した瞬間、
 P型センキー・ゼロオーダーの肉体が、
 『凶悪な野獣』を模した『狂神回路外骨格』に包まれた。

 ――と、同時に、
 狂神回路外骨格は、
 マキシマイズ・カオスインフィニッターのイカれた暴力にさらされて、

 ギギギギギッッ、バチィッ、グチィッ、ボゴォッ!!

 と、痛々しい音だけを残して、
 5秒と持たずに消滅してしまった。

 ――しかし、それでよかった。

 5秒と持たなかったが、
 3秒くらいは持ってくれたから。

 だから、

「……はぁ……はぁ……くそったれ……『とっておきの切り札』を『ばけのかわ』みたいな使い方しちまったな……」

 P1の戦闘データに含まれていた『戦闘記憶』
 ――その中に紛れていた『戦術』関連の記録。

 それは、将棋や囲碁なんかの格式高いテーブルゲームだけではなく、
 ポ〇モンなんかの、いわゆるサブカルEゲームの知識もあった。

 『戦術(敵を殺すための戦闘思考力)』という概念を理解する上で、
 将棋やポケ〇ンは非常に便利なツール。

 P型センキー・ゼロオーダーは、ポ〇モンの面白さ・楽しさは一ミリも知らない。
 ピカ〇ュウとサ〇シの友情、イ〇ブイの可愛さ、ミュ〇ツーの憤り、
 そんなものには一切、興味がない。

 しかし『勝ち方』だけは、廃人なみに熟知している。
 どの技や特性がどのように強く、どのように運用すれば、相手を倒せるか。
 それだけは知っている。

 P型センキー・ゼロオーダーとは、そういう歪な存在である。


「ラージャン・エグゾギアは、決して防御ビルドではない。ガチンコの殴り合いでこそ輝く超脳筋仕様……できれば、ラージャンの『凶悪な火力』を披露したかったんだが……」


 ブツブツとそうつぶやいてから、
 P型センキー・ゼロオーダーは、


「まあ、いいか。俺の『こうしたい、ああしたい』なんて、どうでもいい。そんなことより……」


 そこで、ギロっと、クスオをにらみつけ、

「さあ、お前は、すでに使い切った。また同じ火力を出すために必要なリキャストタイムは……およそ二時間。違うか?」


「まあ、そんなところだな。クールタイムを短くする方法を限界まで駆使しまくったとしても、再装填まで1時間はかかるだろう。希少な消費アイテムなんかを湯水のごとく投入したとしても……さすがに30分は切らない」

「つまり、俺の勝ち筋は、30分以内に、お前を殺しきること。お前さえ死ねば天使軍は烏合の衆になりはてる」

「烏合の衆にはならないが……まあ、大きく戦力ダウンするのは事実」

「30分以内なら、確実に殺せる。絶対に持たない。くく……絶望的だな。焦るだろ? ん?」

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