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18話 数の暴力。


 18話 数の暴力。

「――任務了解。天童久寿男、出撃する」

 クスオとともに、天使軍は、
 テレパシーによる完全な意思疎通で、
 一個の生命のように躍動する。

 ラグい手順を踏んだりはしない。
 行軍も突撃も、コンマフレームで行われるという戦争的洗練の極地。


 『烏合の衆』という言葉がある。
 ――規律も統制もなく、ただ寄り集まっているだけの無秩序な軍勢。
 クスオの天使軍は、まさに、その対義語として扱っていい。
 完全なる規律と統制のもと、美しい秩序を体現している至高の軍勢。



 ――存在値1兆をこえている天使たち。
 彼・彼女らも、それぞれ、かなり性能の高い剣翼を背負っている(もちろんクスオのデビルメアトランク・セラフレア/トロイメロイほどではないが)。

 おおよそ、その性質は五つに分かれており、
 「イーグルソウル」   オールラウンダー
 「レーザーファルコン」 手数の多さ重視
 「零色」        スピードスター
 「ドラゴンホーク」   脳筋・火力全振り
 「セ改」        装甲特化タンク
 となっている。

 これらの種類は、あくまでも、『指揮する際にわかりやすくするため』に定義づけされた『傾向・系統』であり、正式な剣翼の名前というわけではない。
 ちなみに、デビルメアトランク・セラフレア/トロイメロイは正式名称であり、その系統は、『レーザーファルコン寄りのイーグルソウル』と言った感じ。

 ※ これら『系統』と『同じ名前』を持つ召喚獣が存在するが、
   起源は、天使たちが駆る剣翼の系統である。





「――数の暴力か……怖いねぇ」





 ニィと笑いながら、P型センキー・ゼロオーダーは、
 冷静かつ淡々と、クスオ率いる天使軍の対処にいそしみつつ、
 心の中で、

(はん……『回避タンク』と『ガチタンク』の二部隊で俺を引き付けて、『支援』がバフデバフを積んで、場が整ったところで、『火力担当』で狙い撃ち……面白味もクソもない、よくある定石だな)

 戦争の基本。
 殺し合いのセオリー。

(悪いが、いまさら『定石崩し』の『機械的処理』に手間取ったりはしない。こちとら、レイド戦なら慣れているんだよ。なんせ、俺のメモリには『ゼノリカ』っていう厄介な連中と戦った記録もあるんでね)

 記憶も人格もないが、闘いの記録だけは色濃く刻まれている。

 言うまでもないことだが、
 単純な『数的質』で言えば『ゼノリカ』よりも『天使軍』の方が上。

 だが、

(鬱陶しさの質で言えば、ゼノリカの方が上……『純粋な数値』は、お前らの方が上でも、しかし、『処理する側の数値』――つまり、俺の値も爆上がりしているんだから、問題になってくるのは、つまり、数値じゃねぇ。高次戦闘においては、『数値では演算できないウザさ』こそが肝)

 ゴートの思想をぶったぎる意見。

 ――経験則から、P型センキー・ゼロオーダーは理解している。
 レイド戦は、心を摘む闘い。
 折れた方が負ける、魂のせめぎ合い。

(余裕で対処できる。くく……テンドウクスオ、お前には『俺の前に立つ資格がある』。それは認めよう。さすが、かつては『世界の中心(主人公)』だった男。ハンパではない強さ。それは認める。しかし、残念ながら、俺に勝てる力は有していない。俺の前では、お前など、タイムアタック用の中難度『詰将棋』でしかない)

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