『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

7話 ……俺はダレだ……


 7話 ……俺はダレだ……

「……人格インストール『不可』……」

 その青年は、どこでもない虚空を見つめたまま、

「……俺はダレだ……」

 ボソっとそうつぶやいた。

 その発言を受けて、
 ゴートは、戦闘態勢をとったまま、
 最大限に警戒しつつ、

「……『それ』は俺が知りたい所なんだが……」

 鬱陶しそうにそうつぶやいてから、

「俺にラブレターを送ったのはお前か?」

 そう言いつつ、
 システムを使って、目の前の青年を解析しようとした、
 ――が、

(こいつも解析できねぇ……どうなっていやがる……いったい、なにが……)

 困惑しているゴートの視線の先で、
 謎の青年は、
 ラリったような目をして、

「はぁ……はぁ……」

 と、呼吸を少し乱しながら、
 頭を抱え、

「俺は……俺は……」

 重度のジャンキーのように、イカれた感じでブツブツと、

「俺は……センエース……」

 ボソっと、そう言った。

 その発言を受けて、ゴートは、眉間にしわを寄せて、

「お前がセンエース? ……『そうではない』と断言する理由を、俺は持ち合わせていないから『決定的なこと』は何も言えないが……しかし、お前みたいな、ヤク中感が強い変態が『理想の神様』だとは思いたくないってのが本音だな……」

 などと軽口をたたきながらも、
 裏では、全力で、頭もスキルもフル稼働させ、
 この状況を好転させようと画策していた。

 しかし、ことごとくが失敗していた。
 どの角度から解析しようと、すべてが完璧に弾かれてしまう。

「俺は……」

 青年は、
 ゴートの事などシカトして、
 自分自身の奥へとトリップしつつ、

「俺は……P型センエース3号……」

 ぼそぼそと、誰に言うワケでもない、
 ただの独り言をつぶやきつづける。

 そんなP型センエース3号に、
 ゴートは呆れ交じりの声で、

「……ちったぁ会話をしようぜ……言っておくが、お前が登場してから、すでに30秒以上経過しているが、話は一ミリも前に進んでねぇぞ。『頭も名前もおかしい』という点以外で、お前について理解できるコトが一つもねぇ。というわけで、そろそろ前に進もう。俺の質問に答えろ。俺の質問が届いていなかったというのなら、もう一度だけ言ってやるから、耳をかっぽじれ。――俺を呼んだのはお前か?」

 などと言いながら、ゴートは、P型センエース3号の処理方法を思案していた。

(ブチ殺しても大丈夫か……? わからねぇ……こいつを殺してしまったら、クリスタルが砕けて、同時にリーンも死ぬ……みたいな、ふざけたトラップの可能性もなくはない……)

 状況があまりにトリッキーすぎて、
 初手を打つのに時間がかかってしまう。

 『P型センエース3号を殺せばリーンを取り戻すことができます』という、初期のファミコンなみに明快なストーリーなら、非常に楽なのだが、もし、『P型センエース3号は起爆スイッチみたいなもので、殺してしまったアウトです』的な、悪質で狡猾なワナだった場合、目もあてられない。

 ――と、ゴートが、P型センエース3号の処理に関する二択に悩んでいると、
 P型センエース3号が、またボソボソと、
 『誰に言っている』というワケでもないラリったトーンで、

「俺に敗北を認めさせない限り……永遠に、リーン・サクリファイス・ゾーンが解放されることはない」

 などと、そんなことを言い出した。

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