『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

20話 センエースがたどり着いた場所。


 20話 センエースがたどり着いた場所。

「……」

 残されたのは、胸の部分だけポッカリと穴が開いている蝉原。
 蝉原は、自分の胸の穴をチラ見してから、
 センと視線を合わせた。

 交差する視線。
 恐ろしく澄んだ目で蝉原を見ているセンエース。
 まるで、時空がズレてバグったみたいに、
 艶やかに鮮やかで、そして、極まって穏やかな時間だった。

 ――蝉原は、

「……ふふっ」

 『自分の今』を飲み込んで、
 柔らかく微笑んだ。

 そんな蝉原に、センは、

「蝉原……なぜ、ゼンの……いや……『俺』の技を使った?」

 一閃は、もともとセンエースの技。
 ゼンは、その型を使っているだけにすぎない。

 ――凛と響く落ちつきのある声で『神』から問いかけられた蝉原は、
 少しだけ言葉を整えて、

「……不覚にも、憧れてしまったからだろうね。……きっと」

「憧れねぇ……」

 そう言ってから、センは、

「まったく嬉しくない……と言いたいところだが……」

 スっと、視線をはずし、ここではないどこか遠くを見ながら、


「不覚にも、少しだけ、自分を……誇らしく思ってしまった」


 なんて、そんな事を言うセンエース。

 蝉原は、

「……」

 言葉なく、
 ただ、小さく微笑み、
 一筋の涙を流しながら、
 スゥっと、世界に熔けていった。


 ――センエースは、
 蝉原の最後から目をそむけるように、視線を外したまま、
 『ここではないどこか』を見つめ続けていた。

 ……五秒後、
 蝉原が完全に姿を消してから少し経つと、

「……」

 短い黙祷を捧げてから、
 ジっと、自分の両手を見つめる。

 あらためて、
 今の自分が辿り着いた世界を認識すると、

「……ソンキー」

 第一アルファにいる究極超神(キ〇ガイ)に向けて、

「今度ばかりは、そう簡単に追いつけると思うなよ」

 ボソっと、そう言った。

 ――あのキ〇ガイなら、いつか『この領域』にまで届くことも不可能ではないだろう。
 本気でそう思う。
 しかし、さすがに、前ほど簡単には届かないだろうという自負。

「なんて言いながら、案外、あっさりと超えられたりしてな……」

 ボソっとそう言ってから、

「まあ、もし、そうなったとしても……またすぐに超えてやるがな」

 締めてから、少しの瞑想にふけった。
 浸透していく自分。
 そんな没頭を経て、

 センは、その視線を、
 彼女達に向けた。


「……」


 センは、高次の凛々しさを保ったまま、彼女たちの元まで歩くと、

 ……ギュっと、
 二人同時に抱きしめて、

「俺がいる限り、未来は死なない。俺が必ず、全ての絶望を殺してやる。だから……何も心配しなくていい」

 言葉が、二人を包み込んだ。
 とても、とても、温かいメッセージ。
 とろけそうになって、
 脳が甘い痺れでいっぱいになって、

 けれど、
 ただ溺れるわけにはいかないから、
 ギュっと、自分を引き締め直して、

「別に心配なんかしていまちぇん」
「何も心配などしておりません」

 二人は、
 センに負けない凛々しい目をして、そう言った。

「……そうか」

 ニコっと微笑みながらそう言って、
 スっと、二人から離れ、
 ゆるやかに背を向けて、

 その視線を虚空に向けて、
 スゥと軽く息を吸ってから、



「ひかえおろう」



 優しくそう言葉を投げかけると、
 まるで、『ははぁ!!』とジャンピング土下座でもしてきたかのような勢いで、
 パリィィィィイイイイインっと、笑えるほど豪快な『弾ける音』がして、
 『認知の領域外』は砕け散った。

 まるで、何事もなかったように、
 二次試験の舞台である『MDワールド』に戻ったセンは、
 周囲を、スーっと見渡してから、

「確か……三次試験に進めるのは、上位50人だったな……」

 そうつぶやくと、
 スっと、左手を天に掲げた。
 その直後、

 ドドドドドドドッッ!!

 と、無数のエネルギー弾が放出された。
 そのエネルギー弾は、
 まるで意志を持っているかのように、
 自由自在に動き回り、
 センが『不合格』と判断した受験生を次々と葬っていく。

 当然、殺しきっているわけではなく、
 リタイアを強制させるだけ。

 ――50人以下になったのを確認したセンエースは、ボソっと、

「ちきゅうじん、みんなころした。さあ、たたかうぞ。たたかうヤツだせ」

「はぁ? 誰に言ってんでちゅか?」

「気にするな。ただのテンプレだよ」



 50人以下になった事がトリガーになったのか、
 そこで、


『現時点をもって、二次試験を終了します』


 そんなアナウンスが流れた。
 ほかの受験生の視点で言えば、
 あまりにも唐突がすぎる、意味不明な幕切れだった。


 とにもかくにも、冒険者二次試験、終了。
 ……それにしても……長い試験だった……
 体感、半年くらいかかった気がする……


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