『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

19話 最後の攻防。


 19話 最後の攻防。

「……俺は、閃光を纏(まと)う冒涜――その強大な器に寄生する亡霊。『この上なく尊き神の王』を煩(わずら)わせた時計仕掛けのオレンジ、蝉原勇吾」

 今もなお『蝉原センキー』のままだが、
 しかし、彼は、堂々と、蝉原勇吾を名乗った。

 だからというわけではないけれど、その名乗りに応えるように、
 センも、

「俺は究極超神の序列一位。今日、この瞬間だけは、貴様を終わらせるためだけに踊る月光の龍神。舞い散る閃光センエース」

 言葉はすぐに世界へ熔けていった。
 けれど、
 想いは、蝉原の中で、永遠を思わせる輝きを放つ。

 爆発しそうな心を胸に抱き、
 蝉原勇吾は飛翔した。

 出来る全てを賭して、
 蝉原は、センエースと闘った。

 もちろん、『戦い』になどなってはいなかった。
 今のセンエースからすれば蝉原の駆除など児戯に等しい。

 相手にならなかった。
 あまりにも、今のセンエースは強すぎる。

 数え切れないほどの絶望を背負って、
 無限のイバラ道を突き進み、
 決死の覚悟で、『今日』に辿り着いた神は、
 当然だが、



 ――次元違いに、強すぎたんだ。



「君とここまで踊れるヤツが……他に何人いるかな、閃くん」

「さぁな……何人いるかは知らんけど……きっと、『ソンキー』なら、いつかまた、俺と踊れるようになるだろうな……」

 センエースの、その発言を受けて、
 蝉原は、一度、ソっと目を閉じて、

「…………うらやましいよ」

 ボソっとそう言った蝉原に、
 センエースは、穏やかな口調で、

「この強さに至った俺が?」

 神の問いに触れて、
 蝉原は、

「君に信頼されているソンキーが」

 最後に、ニっと微笑んで、


「さて、閃くん。いい時間だし……そろそろ、フィナーレといこう」


「ああ、そうだな」

「――あっと、その前に、一言だけ言わせてほしいんだけど、いいかな?」

「好きにほざけよ」

 了承を受けると、
 蝉原は、コホンと息をついて、

「君は、俺なんかじゃ理解できないくらい……果てなく美しかったよ」


 そう言うと、
 召喚していた魔刀を、腰の鞘に納めて、
 グっと体の至る個所を屈曲させて、ググっと力を溜める。

 タメ時間は、ほんの数秒。
 もちろん、『センエースとの闘い』という条件の前では、永遠を超える長い時間。

 センエースがその気になれば、余裕で潰された。
 けれど、センエースは見逃した。
 当然。
 ――だって、


「――// 羅刹(らせつ)・真羅(しんら)・輪廻一閃(りんねいっせん) //――」


 凶悪な威力の一閃が、
 時空を裂きながら、
 まっすぐに、センエースを襲った。

 素晴らしい一撃だった。
 圧倒的な存在値を器にした、強力な攻撃。
 それは間違いない。

 間違いない……が、
 ハッキリ言って、
 今のセンエースからすれば、
 酷くチンケな技だった。

 あえて、ガキのお遊戯と評してもいい。
 遠い将来『花開く可能性』は極めて高いが、しかし、今はまだまだツボミ。
 そんな、どうにも青くさい一撃。

 だから、
 センエースは、クッと、軽く踏み込んで、
 居酒屋のノレンでもくぐるような気安さで、
 蝉原の『ガン積みされた一閃』を払いのけると、

 そのまま、


「……閃拳」


 魂の正拳突きで、
 蝉原の心臓をブチ抜いた。

 キンッ……と、輝くような弾く音がして……
 魂魄が鮮やかに飛び散って……

 ――世界だけではなく、蝉原の肉体に対してさえも『無駄な破壊』が起こらないよう、
 もろもろに配慮しつつ、『エネルギーという概念』を完璧にコントロールした一発。

 蝉原の腹部から拳を引き抜いた時、
 センの腕には、血が一滴もついていなかった。
 『究極超神技』としか言いようがない、完全で完璧な正拳突き。

「……」

 残されたのは、胸の部分だけポッカリと穴が開いている蝉原。
 蝉原は、自分の胸の穴をチラ見してから、
 センと視線を合わせた。

「ふ……ふふっ……」


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