『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

9話 そんなのイヤだ。


 9話 そんなのイヤだ。

「もういい! もういい! もういい! 地獄で踊るのは、もう飽き飽きだ! これだけ頑張ってきて! これだけ苦しんできて! けど、『ソンキー』にも、『P型センキー』にも負けた!」

 強い部分が死ぬと、
 弱い部分が強く表層に出る。

 陰と陽。
 五行の相侮(そうぶ)。
 それは無限の連鎖反応を起こし、すべてのメモリを凌辱する。
 抑え込んでいた弱さが、遠慮や配慮を見失って、みっともなく爆発する。

「結局、天才やチーターには勝てなかった! 俺はバカな凡才! どれだけ努力をしても! 報われることなんてありえない! 俺は、一生! このまま苦しみ続ける! なのに、がんばりつづけるのか? 意味なく努力して、永遠に苦しみ続けるのか? そんなの! そんなのイヤダァアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

 『どうせ、報われない』
 『どうせ、努力したって』
 『どうせ、天才やチーターには勝てない』

 ――どうせ、どうせ、どうせ、


「もういい! 誰もくれないというのなら、俺は俺に、『諦めていい』って許可書を与える! そのぐらいは許される! 許されてしかるべきなんだ! 俺は、俺を許していいんだよ! 誰にも文句は言わせねぇ! 俺に文句を言えるやつなんて、この世にいねぇ!」


 許しのこじき。
 どこまでも、みっともない叫び。
 けれど、誰も、彼を非難できない。
 できるはずがない。
 だって……

「そうだろ! 当然だろ?! だって、お前ら、俺より努力してねぇじゃん! いるのか、この世に一人でも! 俺より努力したやつが!」

 ダセェ叫び。
 『努力だけ』を誇りだしたらおわり。
 『誰かと比べてどうか』なんて、
 『本当』は、誰にとっても、どうでもいい事なのに……

「俺より苦しんだやつだけが、俺にモノを言う権利をもつ! つまり、誰も俺に文句は言えねぇ! 誰にも文句はいわせねぇ!」

 結局のところは、恥さらしの野卑(やひ)な言い訳。
 センエースは、全身全霊で『逃げていい理由』だけを並べていく。

「耳鳴り! 全部! 戯言! すべて! もうムリ! もういい! 俺のターンは終わった! 俺はもう休む!」

 『今やらなければいけない理由』から、必死になって目をそむけ、
 『明日にまわしていい理由』だけを、必死に磨いて、並べて、揃えて、

「今度は、お前らが頑張れ! 俺は知らん! 俺はもう充分にやった! もう、俺の時間は終わったんだ! いい加減、その事実を理解しろ!」

 センエースの中に在(あ)る『弱さ』が、

「そもそも、『俺だけ』が頑張らなければいけない理由がどこにある?! 俺にしかできない?! それは、明らかに、そっちの怠慢だろ! 運命のせいにして逃げてんのは、そっちだろうがぁ!」

 『正論』を主張する。
 正論は、いつだって、最強の言い訳。
 そして、たどり着くのは、みんな同じ設問。


 ――どうせ死ぬのに、どうして頑張るの? 意味なくない?


 限りなく『最強に近い力』を持ち、かつ、不老不死の神であるセンエースですら、
 こうして、現在、抗いがたい『無様な死に際』にいる。

 それは、つまり、結局、みんな死ぬってこと。
 どんなに頑張っても、どんなに必死になって努力を積んでも、
 結局、こうして、呆気なく死んで、全部なかったことになるってこと。

「おわり、おわり! はい、終了! 世界、おわりました! P型センキーが、世界をペロリといっちゃいました。『世界』ってのは、あいつが『美味しく頂くための豚』にすぎませんでした! めでたし、めでたし! 以上ぉおおおおおお!」

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