センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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48話 最終回カウントダウン2。『絶望』


 48話 最終回カウントダウン2。『絶望』

 アダムとシューリは、
 即座に、『自分の現状』を正確に把握した。

 何やら、呪縛を受けたようにピクリとも動いていないセンエースと、
 そんなセンエースと対峙しているヤバげなオーラを放つ男。

 解説の言葉なんて必要はなかった。

 ――もちろん、この男が『P型センキー』という名の『危ない存在』であるなどという詳細を解したわけではない。

 詳しい事など、この状況でわかるはずがない。
 しかし、

 ――『センエースの敵』が、自分達を、ここまでさらってきた――

 その程度ならわかる。
 そして、そこまで理解できたら、もう充分だった。

 アダムとシューリは、
 『センエースの敵』――『P型センキー』を視認すると同時、

「ゴスペル・ソードスコール――」
「オーラドール・アバ――」

 迷わずに、
 最速で、
 最善の一手を打とうとして、

 ――しかし!!

「残念。お前らは、俺に遊んでもらえるほど強くない」

 一瞬で、二人の背後にまわったP型センキーは、
 感情のない言葉を並べながら、
 信じられないほど冷淡に、

「――がはっっ!!」
「――ぐふっっ!!」

 アダムとシューリ、
 両者の心臓を、背後から貫いた。

 その痛々しい光景を目の当たりにして、

「っっっっっ!!!」

 いまだ一歩も動けずにいるセンエースの血の気が引いた。

 今すぐにでも飛びだしたいのに、
 体が言う事を聞いてくれない。
 指先一つ動かす事ができない自分に対して、心底イラつく事しかできない。

 そんな、茹(ゆ)だった感情に溺れているセンエースに背を向けて、
 P型センキーは、とうとうと、

「シューリの方は、神呪をブチ込んだ『さっきの一撃』で充分だが……」

 そう言いながら、
 すでに超次再生がはじまっているアダムをロックオンし、

「……流石に、無限蘇生は、破壊することも、奪うこともできねぇ……が、しかし、これだけ存在値に差があれば、切り離すくらいは出来る……」

 言いながら、
 高速で複雑奇怪な手印を結び、

「――烈解――」

 左手は縦、右手は横――両手で十字を切りながら、そうつぶやくと、
 アダムの体が二つに分かれた。
 物理的に斬られて『まっぷたつ』になった――というワケではなく、
 片方は、アダムの原型をとどめているが、
 片方は、不定形で虹色のモヤモヤ。

 P型センキーは、
 流れの中で、
 その虹色のモヤモヤを指さし、

「――ベリオリズモス・プリズンスフィア――」

 そう魔法を唱えると、
 虹色のモヤモヤが、ギュっと圧縮されて、
 小さな虹色の球になった。

 ピンポン玉サイズの『虹色球』は、力なく、ポトンと地面に落ちて、
 二秒ほど、コロコロと転がっていたが、やがて、物理法則に従って停止した。

 P型センキーは、ヒョイと、その球を拾うと、

「うむ……やはり、どうあがいても、奪えそうにないな……まあ、別に無限蘇生とかいらんけど」

 そう言うと、その虹色球を、自分の額にあてた。
 ブツブツと、何かを念じると、
 虹色球が、ズブズブと、額に埋め込まれていき、
 ちょうど、半分埋まったところで停止した。

「さて、それでは、食事の時間をはじめよう……」

 そう言うと、

 P型センキーは、
 アイテムボックスから、一枚の魔カードを取り出して、

「……」

 また少しだけ逡巡を見せたが、

「……どうせ、すでに俺は無価値。毒を食らわば皿まで……禁止魔カード、使用許可要請」


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