センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

34話 モチつけ。


 34話 モチつけ。

「俺は、P型センエース2号でも、ソンキー・シャドー(マニアクス)でもない。俺は貴様を倒すものだ」

 その宣言を受けたセンエースは、

「どこまでもパクっていくスタイルか……笑えねぇ」

 少しだけ視線を強めて、

「しかし……おいおい、どういうことだ……なんで、融合していながら、魂魄にわずかも歪みが発生していない?」

 完璧に調和している『P型センエース2号』×『ソンキー・シャドー(マニアクス)』の姿に困惑しつつも、概念を理解しようと頭をまわし、

「……スピリット・ファンクションの強制執行は、確か、『対象が持つ機能を呼び出す事』……とすると、ソンキーの根源的魂魄に、そういう機能が備わっていたってことか? んー、よくわかんねぇな。世界進化後に追加された機能については、まだ、イマイチ把握しきれてねぇ……」

 自分自身に深くアクセスすることで、
 神のシステムを部分的に解することができるのだが、
 完全な情報は得られない。
 イメージ的には『不親切』なゲーム。
 攻略サイトをガン見しないと、システム一つとっても、具体的にどんな仕様なのかわからないというクソゲー。

「まあ、いいや。とにかく、今のお前は、ついさっき俺をボコしてくれたソンキーと、スペックアップしたP1が、歪みのない状態で合体した『とんでも状態』……って認識で大丈夫か?」

「違うな。それ以上の力を持っている。なぜなら、俺は、最強の携帯ドラゴンを所持しているからだ。『このMDワールドの支配権を得ているお前』でも超える事が出来なかった、絶対的ランキング一位の『末期インフレデータ』が積まれた最強の携帯ドラゴン」

「……末期インフレ……」

「ようするには、お前が第一アルファで積んできたデータだよ、センエース。お前が必死になって積み上げたデータが俺を底上げしてくれている。最強の戦闘力と、最強の精神力――その二つを併せ持つ上、膨大な補正まで受けている今の俺は、間違いなく最強」

「……なるほど。つまり、お前は『ぼくのかんがえたさいきょうのセンエース』ってわけか。へー、すごいねー」

「その呑気……貫けると思うなよ。お前は、絶対に俺には勝てない。勝てる理由がない」

 ニィっと笑い、

「さあ、瞠目しろ。そして、絶望するがいい。『全ての絶望』をあまねく絶望させてきたお前でも、この俺――『P型センキー』という絶望だけは超えられない」

 そう言うと、
 スゥと息を吸い、



「究極超神化7!!」



 叫び、気合いを入れる。
 ――だが、

「……ん?」
「……ん?」

 何の変化も起きなかった。
 だから、向かい合っている両者は、ともに疑問符を口にして首をかしげる。


「ん、ん?! ……ごほんっ!」

 P型センキーは、一度、咳払いをしてから、
 先ほどの『ズレた数秒』をなかった事にしてから、
 あらためて、
 全力で集中し、
 全身に力を溜めて、
 最果ての自分を心に描きながら、
 魂魄に気合をブチこんで、

「究・極・超・神・化・7っっ!!」

 一つ一つの言葉を丁寧に、
 アクセントにも気をつけながら、慎重に叫んだ。

 ――が、

「おぉおい! はぁ?! ちょっと待て! なんでだ?! どうなっている?! なんで変身できない?! おかしいだろぉおおおお!」

 その滑稽な様を見ていたセンエースは、
 呆れ交じりの声で、

「俺、もう、攻撃していいか?」

 言われて、
 P型センキーは、あわてて、

「モチつけ! お前は、そこで、クリームソーダでも飲みながら待ってろ!」

 そう叫んでから、

「究極超神化7!! 究極! 超神化! 7っっ!!」

 色々と試行錯誤しつつ、
 何度となくためしてみたが、

「だ……ダメだ……ムリくさい……な、なんでだ……」


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