センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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15話 戦闘力評定D。


 15話 戦闘力評定D。

「さてさて……いい感じに魂も温まってきたことだし……そろそろ、本格的に殺し合ってみようか」

 阿修羅ゼンは、軽く肩をまわしつつ、首周りの血の巡りにも考慮しながら、
 ググっと、『剣を握っている手』に力を込め直す。
 気血が充実して、
 テンションが上方修正されていく。

「ほいほいほいっとぉ!」
「ぐぅ! ぬぅう!」

 剣で暴れる阿修羅ゼンと、
 防御に徹するP型センエース2号。

 阿修羅ゼンは、魔力で底上げされた剣を、決して悪くはないムーブで振りまわす。
 まったくもって美しくはないが、
 しかし、最低限の下地は出来ている剣技。

 踏み込み足に体重を乗せて、
 一つ一つの、局所的な円運動を滑らかにすることで、
 全体的な弧が綺麗な丸になる。
 まるで、円周率が、3.05より大きい事を証明しているみたい。

「おいっ、ちょっと待て! ゼン! お前、強すぎるぞ! どうなっている?! お前の『この時期における戦闘力評定』は『D』が限界だったはずっ!」

 戦闘力をデジタルに測ることは出来ないが、
 『おおざっぱに見積ったら、まあ、だいたいこのくらい』
 という、『ざっくりとした視点での評価』をつけるくらいなら、できなくもない。

 『戦闘力評定D』は、『決して弱くはないが、強いかと言われると微妙』というライン。
 ちなみに、この評定は、勇者ハルス・レイアード・セファイルメトスを『最高評価のA(成績でいうところの『優』)』と判断した場合の基準。

 仮に、センエースやソンキーといった究極の闘神達を『最高評価のA』と評定してしまった場合、当然だが、ハルスもゼンも、『Zマイナス』を大幅に下回った『弱過ぎて測定不能』という、無残な落第点となってしまう。

「……『俺の、この時期における戦闘力評定』って……なんだ、それ。お前は、あれか? 『俺が十五歳の時は、このくらい強くて、16歳の時は、このくらい強い』……みたいな一覧が分かっているってことか?」

 そんな阿修羅ゼンの問いを、
 P型センエース2号は、一切シカトして、
 ぶつぶつと、

「こ、この強さは、どう考えても、『Cマイナス』を超えている……」

 自分の世界に入り込む。

 ちなみに、このランクは、
 下から『Dマイナス』『D』『Dプラス』『Cマイナス』『C』『Cプラス』
 と上がっていくので、
 現在のゼンは、P型センエース2号が想定したラインよりも、
 『2段階』ほど強いという事になる。

「おかしい……こんなはずはない……本来のゼンの素質を考えれば、この時期にDの評価をつけることすらありえないんだ……『最も大甘に見積もった上での限界値』がDのはず……なんだ、これは……このズレはいったい……」


 ※ 解。ゼンは、センエースの影響を強く受けたフッキとの闘いで、ソル・ボーレの想定を大幅に超える成長を遂げた。
 ゼンが『センエースの命令を受けたフッキ』と闘って大幅に成長する、というのは、ソル・ボーレの中でも、想定の範囲内だったが、
 ――フッキのインテリジェンスが、センエースという輝きによって、大きな花を咲かせ、その流れを受けて、ゼンも限界以上に開かれる――
 という未来(現在)までは予測できなかった。

 いつだって、そう。
 センエースの影響力は、ソルの想定を超えていく。

 ――そうでなければ、話にならないから。


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