『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

11話 P型センエース2号の恐怖。


 11話 P型センエース2号の恐怖。

「――で? 質問とは?」
「……何をしに、ここにきた?」
「恐怖を押し込めて、冷静に問いかける……うん、お前はまさに、勇者だ」
「ごたくはいい。二度言わすな。俺の質問に対して、簡潔に答えを述べろ」

 ハルスはギリっと奥歯をかみしめた。
 心が逸(はや)る。
 目の前にいる少年は、『自分(ハルス)を倒したパガロ』を、虫ケラのように踏みつぶした。
 なにかしら『再現不能な特殊アイテム』や『アリア・ギアスがガン積みされた決死技』を使ったという可能性もあるが、
 普通に考えた場合、
 目の前にいる少年は、パガロを虫ケラ扱いできるほど『極悪に強い』ということになる。

 そんな相手に恐怖を抱かない訳がない。
 とはいえ、恐怖に飲み込まれるわけにもいかない。

 ハルスは勇者。
 世界で最も強い男。
 つまりは、
 この世で最も勇敢でなければいけない英雄。

 いくらバカ勇者と蔑まれようと、
 いくら、勇者という概念を、単なる称号扱いしていようと、
 その矜持からは目をそむけるわけにはいかない。

 ――ハルスは、これまでに感じたことのない、
 抱えきれないほどの恐怖に襲われながらも、
 グっと腹に力を込めて、

「目的はなんだ? なぜ、てめぇは、俺の前に現れた?」

 その問いに対し、P型センエース2号は、ニっと微笑み、

「安心しろ、ハルス。お前に用はない」

 そう言うと、
 拳を握り、少しだけ力を込めて、

「……うぐぅ!!」

 トンっと、軽く触れる程度にとどめながら、
 ハルスの腹にノックを一つ。

 たったそれだけで、
 ハルスの意識は完全に飛んだ。
 白目をむいて、その場にバタリと倒れ込む。


 悲鳴をあげたセイラ。
 それにイラっとしたのか、P型センエース2号は、

「うるさいな」

 ボソっとそう言いながら、セイラの眼前まで瞬間移動し、
 ピシンッと『彼女の小さな顎先』をやさしくはじくように、弱めの指ピンを入れた。

「ついでに、お前も」

 そう言いながら、P型センース2号は、近くにいたシグレのアゴにも指ピン。
 二人とも、アゴに受けた衝撃から、脳内がガクガクっと揺れて、
 そのまま、糸を失った人形のように、バタっと倒れた。

 三人とも殺されてはいない。
 ピーツやカルシィとは違い、
 ハルスとセイラとシグレは、気絶をしているだけで息がある。

 ――圧倒的な力で瞬時に三人を気絶させたP型センエース2号は、
 残されたゼンに視線を向けて、

「さて、それじゃあ、はじめようか」

 そう言った。

 P2の威圧感に押され、その場から動けなくなっているゼン。

 どうにか、勇気を振り絞り、
 ゼンが、ゆっくりと、

「はじめるって……なにを?」

 問いかけると、P型センエース2号は、ニっと微笑み、

「本当の、冒険者試験の二次試験」

「……ほんとうの……ねぇ」

 冷や汗を流しながらも、
 ゼンは、男らしく、両の拳を握りしつつ、
 ――しかし、心の中で、

(ハルスを一瞬で倒したこいつに、『ハルスと同じレベルの携帯ドラゴンしか使えない、戦闘力的にはハルス以下の今の俺』が勝てるわけねぇ……エグゾギアさえ使えれば……くっ……)

 現在のゼンは、強化値300%ちょっとの携帯ドラゴンしか使えない状態。
 出力的にも、現状では、ハルスと大差ない。


 ――現状のゼンが、P型センエース2号に勝てる理由はなかった。

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