センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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56話 ウラスケの本音。


 56話 ウラスケの本音。

「ウゼぇなぁ……見えているが、反応しきれない速度……つまりは、俺の一歩上……」
「正しい理解力は尊い」
「上から言葉を降らすなよ。払いのけるのがダルいんだ」
「答えは出た。貴様は私に勝てない……世界は終わった。全てを受け入れろ」

 言いながら、
 バグが、ソンキーに向かって、
 エネルギー弾を放とうとした、
 その時、





「ディザスター・レイ!!!」





 声の直後、バグの背後から、照射が飛んできた。
 それなりに高位力のエネルギー波だったが、
 今のバグからすれば、低次元のお遊戯だった。

 振り返ることもなく、
 薄いバリアを張るだけで消失させる。

「……タナカウラスケ……なぜ、私に攻撃する?」

 冷たい視線を送られて、
 ウラスケは、

「わけのわからん虫ケラ、ごらぁ……調子に乗って、なにムチャクチャしてくれてんねん……」

 まだ、じゃっかん朦朧としているが、
 しかし、強い目線で、バグをにらみつけ、



「かえせ……『その二人』は、『ぼくの女』なんじゃい……」



 つい、ポロっと本音をもらしてしまったウラスケに、
 バグは、とうとうと、

「……高瀬ナナノと繭村アスカなら、私の中で、一つになっている。かえすもクソもない」

「なにが一つや……雑音と異物の受け皿にされとるだけやないか……」

「それは、ただの疑心暗鬼。うがちすぎて、現実が見えなくなっているだけ。私の中で、二人は満たされている」

「俺と一緒だった時までは、まだ、あの二人は、あの二人の意識を残しとった……けど、今は、ただ犯されとる……ただ、全てを奪われて……好き勝手やられとる……あの二人がムチャクチャされとるんを黙って見とる訳にはいかん……絶対にかえしてもらう」

「……はっ……威勢だけは、いつも一丁前だな……で? 実際のところ、どうする? 神気の一つも練れない矮小な貴様では、私に抗う事などできない。私からすれば、そこらを這いずるゴキブリと貴様との間にはなんの差もない。ただカサカサと目障りなだけで、大きな障害にはなりえない」

「確かに、いまのぼくでは何にもできん……けど……」

 そこで、ウラスケは、
 ギリギリと奥歯をかみしめてから、

「トウシ……ぼくと合体せぇ」

 そう懇願した。

 ウラスケの覚悟を見たソンキーは、
 己の中のトウシと、部分的にスイッチして、

「合体ねぇ……その心は?」

「これまでの流れを精査した解答。あんたとソンキーのシナジーは完璧や。けど、一個だけたりんもんがある。それは、ぬぐいきれない歪み。ぼくなら、それを補える。あんたとソンキーとぼくが一つになれば……誰にも負けん」

 ウラスケとトウシの会話を、
 バグは黙って聞いていた。
 矮小な小物のあがきを見守る姿勢。

 『どうにもならない現実』をどうにかしようともがいている様は、
 バグの魂に、震えるような愉悦を与えた。
 『このために産まれてきたのだ』とすら思える、激烈な悦楽。


「……残念やけどなぁ、ウラスケ。あのバグとワシらは違う。誰もが皆、合体した分だけ強くなるわけやない。今のお前と合体したところでタカが知れとる。というか、普通は合体したら弱くなんねん。たいがい、ちょこっとステータスの数値が上がるだけで――」

「ぼくをナメるのもええ加減にせぇよ、トウシ」


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