センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

6話 『転』。


 6話 『転』。

「ぼくの真名は、『田中・イス・裏介』。同じ血が流れとる親戚は、全員、この『イス』という特別な名前を持っとる。どっかでスパイをやっとるオヤジの真名は『田中・イス・栄雅』。従兄の真名は、『田中・イス・東志』でも、ウチの母親は、ウチの家系の血が流れとる訳やないから、普通に、名字だけが同じで『田中貴織』……みたいな感じ」

「なに、それ……どういう系等の厨二?」

「言われると思ったわ……だから、言いたくないねん……こういうところも含めて、ウチの家系って、なんかヤバいんやって。わけの分からんハウスルールっていうか、掟みたいなのが、山ほどあるイカれた家で――」

「ていうか、聞きたいのは、そういうんじゃないんだけど」

「……ぇ、でも、他に隠している秘密とかは、特に……」

「……はぁ、もういい……」

 心底から、イラついている顔で、そう吐き捨てると、

「アスカの両親は、強盗に殺されたの。犯人はまだ見つかっていない。で、アスカは、なぜか、自分の両親を殺したのは自分だと言い張っているの。アスカが異常なほど自分を責める具体的な理由は知らないけど、たぶん、目の前で親を殺されたシーンでも目撃して、精神的に病んじゃったんでしょうね。以上」

「……」

「あー、つまんな……私、もう帰るから」

 そう言って、ナナノは教室から出ていった。

 彼女の背中を見送ってから、
 ウラスケは、ボソっと、

「……ぼくに出来る事は、なさそうやな……」

 そうつぶやいた。


 ★


 ――その帰り道の事だった。
 でたらめだった赤は昔、
 夕焼けが落ちて、
 世界が暗闇になりかけた、ギリギリの時間。

 自宅への近道である『極端に人通りの少ない路地』を歩いている時、
 ウラスケは、『歪な気配』を感じて、フっと視線をあげた。
 すると、
 その視線の先には、

「……繭村……アスカ……」

 マンションの屋上の淵に立っている彼女を見つけた。
 ひどくはかなげで、風がふくだけで壊れそうなほど脆そうで、
 けれど、どこか蠱惑的な……

「なにを……まさか――」

 その『まさか』を、彼女は実行した。
 彼女の体は、力なく、まるでスタント人形のように……
 
 気づけば、ウラスケは走り出していた……が、
 しかし、当然、間に合うワケもなく、

 ――グチャ。

 地面に頭から激突して、
 繭村アスカは潰れて死んだ。
 見間違えようのない投身自殺。

 凶悪にグロい命の終わりを目の当たりにして、
 ウラスケの全身に、ベッタリとした汗が流れた。
 臓器がギュっと縮こまって、
 重たい吐き気にさいなまれた。

「うぅ……」

 頭がグルングルンと廻って、
 気付けば、我慢できずに嘔吐していた。

「なんだ、これ……なんで、こんな……うぇ……おぇ……」

 フラついて、ついには、その場に倒れ込む。
 警察を呼ぶとか、救急車を呼ぶとか、
 そんな事を考える余裕はなかった。
 ただ、全身が痛かった。

 どこもケガなどしていないのに、
 なぜだか、全身の至る所から鈍痛を感じた。

「うぼぉぇっ……どうして……なんで……」

 生きるのが嫌になるほどの気持ちの悪さ。
 命を放棄したくなるほどの不快感。

 体の奥の方から、得体のしれない熱が発せられるのを感じた――



コメント

  • キャベツ太郎

    ここで止まったのか俺は

    0
  • キャベツ太郎

    バグになったりして?←バグを愛しすぎた末路

    1
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