『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

裏0+++話 ――ここは、もう、誰もいない草原じゃない――


 裏0+++話 ――ここは、もう、誰もいない草原じゃない――

「突き詰める、ナノ単位のムラもなく! そぎ落とす、醜い贅肉のすべてを!」

 アホな宣言は止まらない。

「可能性の全てを沸騰させて、限界という無粋を皆殺しにしてやる。努力って言葉の意味と価値を変えてやる」

 しまいには、概念にケンカを売る始末。

「俺の姿を見れば、この世の誰もが、例外なくドン引きするほど、バカみたいに積んでやる」

 とっくにみんなドン引きしている。

「何があろうと、絶対に止まってやらねぇ!」

 言われなくとも、知っている。
 お前は止まらない。

 ――だからこそ……


「すべての絶望を踏み台にして、無限の高みを目指し続けてやる!」


 全ての覚悟をならべてそろえて、
 最後に、



「俺が最強の神だ」



 そう締めた。
 真摯にぶっちぎったアホ丸出しの『キ〇ガイ宣言』をしたセンに、
 シューリは言う。

「それでいい。あんな愚弟に……あんな中学生ごときに……二度と負けるな、センエース」

 揺るぎない厳しさは、
 確かな指標になってくれる。

「あんたは、あたしの弟子。この世で並ぶ者がない、世界最強の神……この世の誰よりも美しい光。だから……」

 優しいだけの甘い抱擁なんていらない。
 そんなものは必要ない。
 ――甘さじゃ、弱さは殺せねぇ。


「二度と、負けるな」


 言葉に包まれて、
 だから、こぼれる。
 我慢していた涙が流れる。
 声が震えて、けれど、それでも、

「……ぁあ…………ああ……負けねぇよ。お前と、アダムと、ゼノリカと……俺の全部に誓う。これまで以上に、俺の全部を積み重ねて……必ず、あいつを超える……」

 覚悟を口にする。
 この世の誰よりも、想いと覚悟を積み重ねてきた神が、
 『もっとイカれた意地』を積むと決めた瞬間。

 実際のところ、贅肉なんて1グラムもない。
 今まで、甘えた事なんて一度もない。
 だが、それは、
 あくまでも『センエース以外の誰か』と比較した場合の話。
 これから先、センエースが比べていく対象は、『今までのセンエース』。

 『才能ゼロでありながら神の王になってしまった』ほどの『狂った努力量』が、
 今日からは、最底辺の最安値となった。
 そこが『絶対的な一番下』で、そこを下回ることは、どんな理由があろうと決して許されないという、絶対不滅のボーダーライン。

 ただただ、永遠に、『上』だけを目指し続ける、壊れた修羅。
 『最強』という、概念の呪縛にとらわれた、生きる亡霊。

 ――ここは、もう、誰もいない草原じゃない。
 ――カラっぽの頂上でもない。
 ――ここは、身を焦がす灼熱地獄。

「二度と負けねぇ……絶対に負けてやらねぇ……」

 血を吐くように、そうつぶやいた神。

 ――そんな神のもとに、ずっと、居場所を見失っていたアダムがソっと近づいてきて、
 涙を流している主の背中に寄りそった。

 フワリと、柔らかく、
 包み込むように、
 『その命すべて』で、センエースの魂を支えるように、

「……」

 背中に、アダムの温かさを感じたセンエースは、
 グっと、体に気を入れ直して、

「みっともない姿を見せちまった……悪い……アダム……ふがいない主で……」

 そう声をかけると、アダムは首を振って、

「あなた様は、今も変わらず、果てなく美しゅうございます」

 艶のある声で、そう言った。

 センエースは、ソンキーに負けた。
 しかし、どうでもいい、そんなこと。

 そんなことは、問題ではないのだ。

 今も、必死になって、気を張って、
 その強き瞳で『上』をにらみつけている主の背中だけが、

 ――アダムの居場所。


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