センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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137話 お前がナンバーワンだ。


 137話 お前がナンバーワンだ。

「……美しくない。歪みしか感じない。こういうのは、好きじゃないな、やはり……」

 冷たい陰(いん)を含むその言葉を受けて、
 センエースは鼻で笑い、

「だろうな、お前はそういうヤツだ。『闘い』という枠の中で、自分の強さを相手に押しつけて、その結果として、相手より上回っているか否か、そこにしか興味を抱かないバカ野郎」

「戦闘が始まるまでならともかく……戦闘が始まっているにも関わらず、『どうすれば相手に勝てるか』と考え行動するのはノイズだ。対峙して、ぶつかって、どっちが強いか弱いかをハッキリさせる。その純粋さこそが美しい」

「その意見を否定はしない。そういう『突き詰めた覚悟だからこそ出せる強さ』もあるだろうから。しかし、現実問題、今のお前の方が、これまでのお前よりも、圧倒的に強い」

「……そのようだ。認めたくないが」

「ソンキー、お前は強い。この世で、唯一、俺とやりあう事ができる究極の闘神。かつて、俺はお前に憧れた。お前を超える事だけを夢見て邁進した日々の全てを、俺は今でも鮮明に覚えている」

「俺も覚えているよ、センエース。初めて会った頃のお前はゴミだった。俺の足下にも及ばない小神だった。いまだに信じられない。あのしょうもないカスが……ここまでの強さを得たという事実」

「ソンキー。俺は、お前に憧れた。だから俺はここまでこられた。俺はすでに最強。誰よりも強い神の王。だが、ここでとどまりはしない。俺は、もっと、もっと、先に行く。そのための踏み台がお前だ」

 センエースを包むオーラの量が増した。
 神の限界を遥かに超えた圧倒的な力でソンキーを押していく。

 舞い散る閃光は止まらない。
 ただ美しく煌めく。

 ――センエースは言う。

「ソンキー、俺は強くなったぞ。強くなって、強くなって、強くなって、そして、強くなったんだ。もう二度と、俺がお前に負ける事はない! たとえ、タナカトウシという究極の可能性と合体したとしても、お前じゃ、俺には勝てない! それが世界の真理だ!」

「ならば、真理を殺そう。そのために俺は、『俺だけの美しさ』を捨てた」

 ソンキーとセンエースは、互いに飛んだ。
 飛翔する極限の神々。
 幽玄を飾りながら、軽やかに、はじけ合う。

 弧を描いた残像が、
 電流と火花を咲かせて、
 キラキラと歌う。

 認知できない空間のどこかで、凶悪なエネルギーをぶつけあう。
 残像の終焉。
 世界のメモリが焼き切れて果てる。
 認知が立場を見失って、気付けば、空間のあちこちがツギハギだらけ。
 炸裂し、弾けて、拡散する。

 『歪んだ神話』と『ズレた芸術』が重なり合い、
 極彩色の幻想が螺旋の中で溶けあう。

 止まらない。
 次元が悲鳴をあげている。

「強くなったな、ソンキー。……本当に強い! お前をそこまで引き上げたトウシには、心の底から感嘆する!!」

 本音だった。
 本気で思う。

 伝わったのだ。
 言葉にしていないところで。
 深く、互いの奥へと潜っていく。


「ああ、すげぇなぁ……ほんとうに、すげぇよ、トウシ……今までの永い神生の中で、さんざんっぱら、多種多様な無数の天才を見てきたが……間違いなく、お前がナンバーワンだ」

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