『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

114話 追加システム。


 114話 追加システム。

「くそ! くそ! くそ!」

 トウシの嘆きは昇華されない。
 トウシは強いが、
 足りてはいない。
 ミシャンド/ラという狂気を超えられる領域には至っていない。

 出口のない迷宮でさまようトウシ。

 そんなトウシに、
 ミシャが言う。

「よくわかっただろう。タナカトウシ。貴様では私には勝てない。私は、まだまだ、貴様のはるか先をいっている」

「……っ」

 トウシは必死になって頭をまわす。
 しかし、答えは出ない。
 いや、答えなら出ている。

 勝つ方法が見えないだけで、
 敗北までの手順ならシッカリと見えている。

「さて……貴様の想定外すぎる超パワーアップのせいで、発表するのが随分と遅くなったが……ここで、特別システムについて伝える」

「特別システム……?」

 そこで、ミシャは、禍々しいナイフを取り出して、

「他者の魂魄を奪って強化できるシステムだ。このナイフを使って、暁ジュリアを殺せ。そうすれば、『ただ龍を喰らうだけ』では果たせない究極のパワーアップが実現する」

「……実に悪者らしい提案やな」

「このナイフによって命を奪われた者は、永遠の闇をさまよう。その絶望を貪りくらうことで、貴様は、より大きなパワーアップを果たすことができる。これは、アリア・ギアスと呼ばれている可能性の自由意思。自らを律する魂の誓い。背負った覚悟の分だけ、魂魄は輝きを増す」

「……魂の誓いねぇ……」

「これまでのイベントによる強化や、先の戦争で膨大な魂をくらったことで、あの女は、そこそこ質の高い肥料になっている。暁ジュリアの魂を喰らえば、大幅に強くなれるだろう。貴様に時間をやる。暁ジュリアの全てを奪え。そうすれば、私をどうにかできる可能性が出てくる」

「……」

 トウシは考える。
 最善の一手。
 現状における最善は何かと必死になって考える。

 もちろん、前提解は既に出ている。
 ――拒絶する。
 即答だった。
 考えるまでもなかった。

 いかなる状況であれ、トウシにとって、ジュリアを殺すという選択肢はない。
 だが、ならばどうする?

 また、迷路にはまる。
 前提ばかりがジットリと重たくて、
 一向に答えが出ない大迷宮。

 全身に、ベッタリとした汗が溢れた。
 知恵熱が、身を焦がしているみたい。

 そんなトウシの背後に、
 ジュリアが近づいてきて、

「何をしている、バカ男。考える事なんて何もないだろ。さっさと、あたしを殺せ」

 そう声をかけてきた。
 言葉が耳に届いたと同時、
 トウシは、こめかみに、怒りマークを浮かべて、

「だまっとれ、バカ女」

 『心底うっとうしい』という、本音の感情と共に吐き捨てた。
 だが、ジュリアは黙らない。

「アリア・ギアスとかいうシステムが本当なら――背負った覚悟の分だけ強くなれるというのなら、あんたは、私を奪うことで、大幅にパワーアップできる。きっと、神様にも勝てるくらい」

 基本的に、暁ジュリアは、『トウシから本気で命じられた事』には黙って従う殊勝な女。
 だが、この時ばかりは、素直な女ではいられない。

 かたくなな彼女の発言に対し、
 トウシは、語気を強めて、

「うぬぼれんな、カスが。お前を殺すぐらいで、神様に勝てるか。神様、ナメんな。つぅか、黙れ言うとるやろ。何度も言わせんな」



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