『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

109話 気概。


 109話 気概。

「トウシくんがいても……ここまで差があったんじゃ……勝てるわけがない。こんなの反則だ……ここまでの強さだったなんて聞いていない……こんな理不尽……あっていいわけがない……」

 ネオバグとの闘いをへて、岡葉たちは、圧倒的に強くなれた。
 それまでとは比べものにならない急激なパワーアップ。

 もちろん、岡葉は、自分が『トウシより弱い』と自覚している。
 が、『サポートができるくらいは強くなれた』とうぬぼれていた。

 『岡葉たち』と『トウシ』の間には、常に絶対的な差があるが、
 ネオバグとの闘い以降、『次元違いの差』はなくなったと鼻を高くしていた。

 それは決して勘違いではなく、
 事実、『神様と野球勝負をした時のトウシ』と『今の岡葉たち』の間には、
 『影すら見えない距離』などはなかった。

 だからこそ、岡葉の心は折れた。
 『影すら見えないミシャの強さ』を知ってしまった今となっては、もはや、
 『トウシが来てくれればどうにかなる』とは思えなかった。

「……終わった……なにもかも……」

 崩れ落ちる岡葉。
 蒼白の顔で、力なく、自分の命にさよならを告げる。

 岡葉だけが折れたのではない。
 全員の顔が、『赤を抜いた後に残る青』に染まっていた。
 ここにいる全員が明確に理解した。

 ――自分たちでは、どうあがいても、この脅威を超える事はできない。

 あまりにも相手が悪すぎた。
 ミシャンド/ラという超常なる存在は、
 中学生が超えられるハードルではなかった。

 みなが、その絶対的な事実に押しつぶされそうになる。
 のしかかってくる、窒息しそうな絶望。

 ――そんな中、


「まだだ……」


 ズタズタになっている虹宮が、
 両の拳を握りしめ、

「おれは、まだ折れていない」

 『心の奥で湧き上がる炎』が、虹宮を突き動かす。

 虹宮自身、不思議だった。
 なぜ、こんな状況でも、まだ立ち上がって拳を握りしめる事ができるのか。

 『自分』が理解できない。
 いったい『何』に、ここまで突き動かされているのか、さっぱり不明。
 現状の虹宮は、自分自身に対して心底からドン引いている。

 けれど、止まらない。
 『極端なほど熱い炎』が、虹宮の全てを燃え上がらせる。

「絶対に折れてやらない!」

 叫びが全身を包み込む。
 爆発的な勇気で、命を推動させる。

「その気概だけは敬愛にすら値する」

 ミシャは、捨て身の特攻を決めてきた虹宮の拳を、その顔面で受け止めた。
 ギィンっと、硬質な音が響いて、衝撃波が周囲に起こる。
 しかし、痛みはまったく感じていない様子。
 ミシャは、虹宮の拳をピクリとも動かずに受け止めた直後、

「しかし、所詮は借り物。薄っぺらいとまでは言わないが、決して、『確かな本物』ではない」

 そこで、ミシャは、

「将来、たゆまぬ努力の果てに、本物になりうる可能性はゼロではないが、今の貴様は、ただの粗悪なレプリカ。神の威を狩る虫ケラでしかない」

 ガシっと、虹宮の頭を掴み、

「本物の神であれば、私程度の絶望は、鼻歌交じりに乗り越えてしまうだろう。しかし、貴様では不可能。私すら超えられない」

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