『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

101話 ここは、まだ、


 101話 ここは、まだ、


「ワシは……どうなった?」
「扉を開いた。現世の限界を超えた。今、お前は、神の領域に辿り着いた。いや、正確に言うと、神を超えた世界に辿り着いた」


「あんたと同じ領域に行けた……ってこと?」

 トウシの問いを、
 ソンキーは笑う。

「お前は高みに立ったが、しかし、俺は、そんなお前の、はるか上にいる」

 事実の集合体。
 美しく萌(も)ゆる、命の華。

 ――かつて最強だった神は言う。

「俺は、究極超神ソンキー・ウルギ・アース。かつて、命の頂点に立っていた純神の一等星」

 間違いなく、ソンキーは、かつて、輝きの最果てだった。
 武の極みに、誰よりも近い場所にいた。

「現実を知らないお前からすれば到底信じられない話だろうが、俺の視点で言えば、今のお前は、まだまだ蕾(つぼみ)。神を超えた先――『超神』という領域に至ってなお、まだまだ産声を上げたばかりの赤子でしかない」

 言いながら、ソンキーは、また、ゆるりと武を構え、


「面白くなってきた――と心底から思っている。この俺に、『他人の磨き方』を考えさせるとは、大したものだ。その特異性に敬意を表し……ここから、俺は、もう一歩、踏み込んで――お前を殺しにいく」



 膨れ上がった、静のオーラ。
 おだかやで、気品があって、けれど、決して慎ましやかではない。

 あまたの矛盾を飲み込んだ、高次魂魄の乱舞。
 象を失った嵐に包まれるトウシ。


「タナカトウシ。お前は、どこまで駆け上がる? お前の才能、その限界はどこにある?」


「ワシの限界……最果ては……」

 いまだ、トウシは混乱の中にいる。
 渦巻く混沌の奥で、けれど、確かな光を見つめている。


「お前の全てを俺に教えろ」


「すべて……余白のない……ワシの……深部……」

 言語を処理する能力が、一時的に著しく低下していることに、トウシは気付いていない。
 トウシの『今』は、『次』だけを求めている。

 魂の深部が理解している、自分という世界の一部。
 一部でありながら、すべてでもあるという、頭の悪いナゾナゾ。

「ワシは……」

 ソンキーとの闘いが始まって以降、トウシの脳は、たえず、豪速で回転して続けている。
 普通の脳味噌ならとっくに爆発している異次元の回転速度。

 その、とどまることをしらない思考は、
 しかして、

「まだ……」

 タナカトウシという核の、





「――まだ――」





 ――『一部』を理解した。






 ★


 ネオバグの討伐から、きづけば、2時間が経過していた。


 この2時間の間、岡葉たちは、大金を全員で均等に分け合い、
 デストロイ・アルテマゴッドキャンペーン・ガチャを引いて、戦力を整えた。

 1回し300万というふざけた価格のガチャだったが、その額に見合うレアパーツを排出してくれたので、不平不満の声は一切聞こえてこない。

 ――彼・彼女らは強くなった。

「戦争開始時刻は数時間後と言っていたけど……具体的には、いつだ?」
「いま、ちょうど、サブイベント(ネオバグ討伐戦)終了から二時間が経過した……」

「二時間後ではなかった、と」
「てことは、三時間後か?」
「ピッタシとは限らない。数時間後に始まるとしか言われていないのなら、2時間1分に始まる可能性だってある」

「ていうか、トウシくんは、まだ見つからないのか?」
「ああ、校舎中、くまなく探したが、どこにもいない」


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