『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

40話 不可能を殺す。


 40話 不可能を殺す。

「あえて、ムリヤリに例えるなら、貴様がやっているのは、『歩行』の際に複雑な処理を行っているようなもの。その作業を、いくら、高速で処理できたとしても、無心で走っている者には敵わない」

「そ……そうやな……」

 なんとか喋れるようになったトウシは、
 最後にもう一度深呼吸してから、

「……一歩を踏み出すんにすら頭をフル回転させないかんヤツが、オリンピックに出たって、最下位以外は取れんわな……」

 そう答えたトウシに、Jジャミは冷めた声で、

「カッコつけて出てきたのは失敗だったな。ヒーローのマネゴトなどしなければ、生き残れる可能性はあったというのに」

「ヒーローのマネゴト? 産まれてこの方、そんなワケの分からんマネをした事は一度もない。ワシは、ただ、ワシの我を通しにきただけや」

「そうか。では言い変えよう。貴様は、己の我を通せるだけの力もないのに、オレの前で、はしゃいでしまった。そのツケは払わなければいけない」

「……非常に論理的な御言葉。ぐうの音も出んな」

 言いながらも、
 トウシは立ちあがり、
 両手を握りしめて、
 武を構えた。

「なぜ、構える? もう無駄だと分かっているはず」

「そうやな。無駄やな。あんたには勝てん。力が足りん。この状況を覆すんは絶対に不可能……」

「分かっているじゃないか。なのに、なぜ――」

「なぜかと言えばな……ワシの趣味が、『不可能を可能に変える事やから』や」

「……」

「悪いけど、もうしばらく、ワシの趣味に付き合ってもらう。迷惑かけてんのは知っとるけど、まあ、それはお互い様ってことで」

 言ってから、トウシは、

「今のワシ一人では厳しい。それは事実。けど、方法は、まだある……百パーの解決策やないけど、0パーでもない可能性。……ワシなら可能にできうる不可能……」

「不可能は不可能だ。言葉遊びは無意味――」

 と、そこで、トウシは、

「さっきのガチャで5つほど入手した強化パーツ、『コア融合』。これを使って、岡葉たちの携帯ドラゴンとワシのエルメスを融合させる」

 その発言を受けて、ジャミは、落胆した顔になり、

「融合……はっ……最悪手だな。貴様の龍は、そいつらの龍と差がありすぎる。ザコと合体しても弱体化するだけだ。仮に運よく、MD量子(遺伝子的なモノ)がかみ合って、多少の強化が出来たとしても、強化値が50~100ほど増えるだけ。なんの意味もない」

「強化値の変動なんかどうでもええ……そんなもんは、さほど重要やない。パワーやスピードは、最低限があったら構わん。あんたと『まともに向き合えるベース』さえあれば、後は、ワシが、この灰色の頭脳で、どうにかしたる」

「貴様には、その『私とまともに向き合えるベースがない』という話を、ここまでに散々してきた、と認識しているのだが?」

「全員とベースを共有して、マルチコアにする。これで、高次の並列処理ができる。簡単に言えば、今まで机一個で作業してたんが、5つになるってこっちゃ。他のやつやったら、ただ、作業スペースが広がるだけやけど、ワシの場合、それだけにとどまらん。ワシは、ずっと、自分という『ハード』のショボさを嘆いて生きてきた。『机が足りん』とずっと思いながら生きてきた。しかし、このアイテムを使えば、その問題は解消する……あんたの例えにかぶせるなら、机が5つになって効率と速度が5倍になれば、ワシも『スムーズに走れるようになる』っちゅうこっちゃ。『無心かつ反射的に』とはいかんけど、頭を使わんのは性に合わんから……むしろ、逆に、それでええ」



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