『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

17話 ワンパン。


 17話 ワンパン。


 ボスの元まで辿り着いたトウシは、

『グガァアアア……ッッ!』

 出会いがしらにサクっとワンパンでボスを沈めてしまった。
 トウシは、

「……よっわ……」

 ボソっとそう呟く。
 そんなトウシに、ジュリアが、

「ていうか、あんたの携帯ドラゴン、強すぎ」
「ウチの子は、ワシに似て超天才やからなぁ」
「あんたの顔面偏差値に似なくて、ホントによかったわね」
「そうやな。もし、そこが似とったら、23%のブサイクになっとった、あぶない、あぶない――って、やかましわ、ぼけ」

 などと、将来的にも交わしていそうな会話をしてから、
 トウシは、

「これ、もしかしたら、サクサクっと最上階まで行けるかものう。9000階くらいまでワンパンでいって、それ以降は、ちょこちょこっと苦戦するくらいの感じで――」

 などと、ボソっと呟いたその時、





「……なに……その力……」





 後ろから、そんな声が聞こえた。
 振り返ると、
 ソロ宣言をしていた三つ編みの少女『蜜波ナツミ』が、そこにいた。

 その状況を受けて、トウシは、ジュリアにしか聞こない小さな声で、ボソっと、

「あら……もしかして見られてもうたかな……こんな序盤でボスエリア付近とか誰もおらんやろぉ思うて油断しとったな……」

 そう言ったのと、ちょうど同じタイミングで、

「どうして……あなたの携帯ドラゴンは……そんなに強いんですか?」

 尋ねられて、トウシは、
 少しだけ言い淀んでから、

「ん……ああ、実はなぁ……ガチャでちょっとエエのを当ててなぁ……『一日一回しか使えんけど、めっちゃ超火力が出せる技』でなぁ。もう使ってもうたから、ここから、ワシ、なんもできへんけど……」

「どうして、そんなウソをつくのですか? それほどの力があれば、他人を恐れる必要などないはずなのに」
「ウソなんかついて――」

「私の携帯ドラゴンは、『相手が使用したスキルをアナライズして、ステータスを暴く』という能力を持っています。あなたが先ほど使ったスキルを解析した結果、あなたの携帯ドラゴンの基礎攻撃力は5000%相当という結果がでました」

「……ぉっと……」

「信じられない数値……ぶっちぎりのケタ違い……」

(まさかの高次解析系スキルの持ち主やったか……ソンキーのフェイクオーラを貫通し、かつ、5000%まで測れる能力は……貴重やな……)

 考えていると、
 そこで、ナツミが、トウシに、

「一つ質問していいですか?」

 おずおずと、そう声をかけてきた。

「ぇ……なんや?」

「あなたの願いはなんですか?」

「願い……願いねぇ……」

 そこで、トウシはジュリアに視線を向けて、

「お前の願いは? あ、ちゃんと言うとくけど、『神様にお願いする用の願い』の話な」
「……別にない。『他のすべてを捨ててでも手にいれたいモノ』なら、すでに持っているから」
「わお、豊かぁ。願いすらないとか、ジュリアさん、かっけぇ」
「まあ、もし、お腹の中に子供でもいたら、無事に産まれてくることを望むかもしれないけれど」
「あー、わかるわぁ。種の保存という大前提的欲望を満たすためには安産こそが、最大の願いになってくる。ワシも、ガキがおったら、そのガキの安全を一番に考える可能性がなきにしもあら――って、おいおい、ちょっ」

 トウシが喋っている途中で、
 三つ編みの少女ナツミが、
 ふいに、綺麗な土下座をしはじめた。
 それを見たトウシは慌てて、

「おまえ、なにしてんねん」

 問われたナツミは、その姿勢のまま、

「私に出来る事なら何でもします。ですから、どうか……私に、あなたの、その強大な力を貸してくれませんか?」

 悲痛の声。
 全力の嘆願。
 何一つ、淀みも歪みもない、まっすぐな懇願。

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