センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
3話 王と宰相の会議。
3話 王と宰相の会議。
南大陸には、魔王国以外に三つの政治的共同体がある。
龍の国。
鬼の里。
妖精の都。
それぞれ、万を超える魔人や進化種が所属しており、
『北大陸との繋がりがある魔王国』とは違い、
『南大陸だけが全て』と考えている魔族至上主義者の集団。
彼らにとって、『人類が支配している北大陸』は、
腐臭漂う、命のゴミ捨て場みたいなもの。
彼らは、基本的に『人類とは関わり合いたくない』と考えており、
だから、北と繋がりを持っている魔王国に対しては一線を引いた立場にある。
簡単に言えば『魔王国ってバカなんじゃねぇの?』とさげすんでいる。
リーンは『南大陸にいる者全員』のことを『自分が守るべき国民』だと認識しているが、彼らはリーンをトップだとは認識していない。
『無理に恭順を求めてくるのであれば、戦争もやむなし』と、そう考えている。
「――つまり、ラムドよ。貴様は我らに、こう言っているのか? 『従わなければ殺す』と」
『龍の国』の王である『ガイリュー(龍が進化した龍人)』は、殺気を放ちながら、目の前のソファーに腰かけているラムドを威嚇する。
ちなみに、龍の国は、ガイリューが王をしているからそう名付けられただけで、龍ばかりが住んでいる国という訳ではない。
他の国より、龍種が多いのは事実だが、基本的には、多種多様な魔人や進化種が住んでいる。
「まあ、要約するとそうなるな。お前らは、貴重な人的資源だから、殺しはしないけど。俺の言う事が聞けないなら、ムリヤリ従わせることになる」
「いい度胸だな、ラムド……たかがリッチの分際で、龍の進化種である俺に逆らうとは」
龍の進化種であるガイリューは、自分の出自に誇りを持っている。
最高位種族である龍の進化種である自分こそが、最も偉大な存在であると認識している。
自身の強さに関して、絶対的な自信を持っており、勇者が相手だったとしても勝てると自惚れている所がある。
ガイリューの存在値は、70ちょっとなので、実際に勇者と闘えばボコボコにされるだけだが、生理的嫌悪から北との接触を拒んでいるガイリューは、勇者の『実像』を知らないため、『勇者は、あちこちで強い強いと言われているが、まあ、ガチンコでやりあえば俺が勝つだろう』と思っているのだ。
ようするに、クア森林の古龍と同じで情弱なのである。
龍種は、実際、種族スペックが最高位であるため、
ほぼ例外なく、うぬぼれが強い傾向にある。
これまでは、『情弱ゆえの自惚れ』におぼれていても問題はなかったが、
ラムドが出馬した以上、もう『そのノンキ』は貫けない。
「本気で、我が『龍の国』にケンカを売るつもりか?」
「ケンカを売る気はない。ただ、お前らの国は魔王国の一部だって事を理解させにきただけだ。龍の国は魔王国の属国。『この事実』を『お前』が理解したら、それでオールオッケー。首脳会談は終了だ」
「属国? 我が龍の国が、魔王国ごときの?」
「龍の国だけじゃない。鬼の里も、精霊の都も、すべてだ。南大陸にある国は全部、魔王国の属国。で、戦争が終わったら、北大陸にある国も全て我が魔王国の属国になる。属国というか、まあ行政区画だな。龍の国は、魔王国の『南大陸西部の州になる』って感じだ」
「……」
「この世界にある国は、両大陸を支配している魔王国と、その間に挟まれた島国フーマーの二国のみとなる。それをキチンと理解するように。以上。なにか質問は?」
「呆れてモノも言えんな……」
言いながら、ガイリューは剣を抜き、
「この国が欲しければ、俺を殺せ。それが出来ない限り、お前らがこの国をどうこうする事はできない」
「お前を殺せば好きにしていいのか?」
そこで、ずっと黙っていたリーンが、
「ラムド、それはダメだ。殺しては――」
と口出ししたが、
すぐに、ガイリューが、ギラっとリーンを睨みつけて、
「黙っていろ、リーン・サクリファイス・ゾーン。お前と話はしていない。俺はラムドと話をしているのだ」
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