センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

35話 あーそびーましょっ。


 35話 あーそびーましょっ。


 次元の向こうは、銀河を敷き詰めたような、幻想的な空間だった。
 空間と呼んでいいのか分からない、妙な多元性で構築された座標。

 そんな謎の場所で、
 センは、

「……あれは……コスモゾーンか……?」

 無数のクリスタルの集合体を発見する。
 とても巨大で、けれど小さくて、
 遠くにあるのに、近くにあるようにも感じた。

 この妙な空間の『中央』に浮かんでいて、『中央以外』にも存在していて、
 『愛されたがっている』かのような、『理解される事を拒んでいる』かのような、
 冷たくて温かい、そんな淡い光を放っている、透明度の高い結晶。

「……いや、コスモゾーンそのものではなく、そのフラグメント(破片)か……端末と呼んでもいいかもしれない……」

 センも、ハッキリと、『コレ』を理解する事はできなかった。
 『最果ての向こう』を歩く『神の王』になっても、
 コスモゾーンだけは、いつまでたっても、『良く分からない謎』のまま。

 センは、 コスモゾーンのフラグメントが放つ絶気に触れてみた。
 すると、



「……『解』が……俺の中に浸透する……」



 しみ込んでくる。
 センの中で、センと一つになろうとする、世界のカケラ。

「……もらっていいのか?」

 答えは帰ってこなかった。

 ただ、


「……再構築されていく……俺の中で……この世界のシステムが……」


 センは感じた。
 自分の中に、この世界が収まっていく衝動。
 世界運営を託されたという高次理解。

「……遠慮はしない。これまでの神生で、託されたもの、背負ってきたもの、捨てられなかったものは、たくさんある。お前はその一つになるってだけだ」


 破片は何も答えない。
 ただ、センの中に収まっていき、
 そして、いつしか、完全に消失した。

 センは、自分の中に溶けていったカケラに、数秒の黙祷(もくとう)を捧げてから、

「完全に託されたわけではない……か。いくつかプロテクトもかかっている……特に、P型センエース2号に関するデータには、どのルートからもアクセスできないよう、強靭な縛りがかけられている……」

 『何者なのか』は勿論、『現在どこにいるか』すらも分からない。
 現状のセンは、『この世界の権限』を有しているというのに、
 P型センエース2号に関してだけは、何もすることが出来ない。

(……まだまだ面倒は続きそうだな……だが、対処するための手段は得た)

 そこで、センは、『出来ない事』から意識を外し、
 『出来るようになったこと』に集中する。


「もはや、このMDワールドは俺の手の中……ここからは、俺がゲームマスターだ」


 そうそうに、一プレイヤーから抜け出し、
 ゲームの頂点に立ったセン。


「それでは、さっそくはじめていくとしようか。センエース流の携帯ドラゴンを」

 言いながら、センは、このMDワールドのシステムに手を加えていく。
 最大の目的は、やはり、自分とゼンの強化。
 携帯ドラゴンを強化するためのシステムにテコ入れをして、
 センとゼン、両方の携帯ドラゴンを極限まで強化しようとする。

「こっちで勝手に強化値を上げる事は出来ないか……強化パーツの作成にも、無数の制限がある。ムチャクチャ強固なアリア・ギアス。構築に組み込まれているナノ・スピリットが、かなり異質……鬱陶しいな……しかし、条件さえ満たせばオッケー。非常に合理的。となれば、そのためのルート作り……うん、いけるな……」

 その過程で、

「……ん」

 非常に『面白いシステム』を発見した。
 それは、

「ほう……他の世界から、参加者を引っ張ってくる事も出来るのか……おっとぉ、マジかよ。第一アルファから連れてくることもできるのかよ。ハンパねぇな……ふむふむ」

 そこで、センは考える。
 自分の中で、ルートを築いていく。

 そして、

「……よし、決めた」

 そう呟くと、
 センは、このゲームに、

「トーウーシくん……あーそびーましょ」

 古い知人『タナカトウシ』を参加させる決断をくだしたのだった。





 ――タナカトウシ。
 それは、
 この世でたった一人、
 究極超神センエースの心を折った男。
 狂気の頭脳を持つ、比類なき天才!!


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