センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

7話 1790%。


 7話 1790%。

 仮に、『中枢に手を出して根底を覆す』というのが『禁止行為』なら、予選ですでに『その違反』をしてしまっており、つまりは、『すでに落ちている』という事になるので、ここからどれだけ禁止行為をしようが同じということ。

 ――というわけで、現状のセンは、若干開き直って、冒険者試験に臨んでいる。
 最悪、もし違反扱いで蹴られたとしたら、また一年間、みっちりと鍛えて、
 来年の試験では、サクっとオールグリーンで合格してやろうという気概。

 もちろん、『一年も待つ』のは吐くほどイヤだが、
 そうなったとしても、『どうしようもないどん底の最悪』というワケではない。
 無限転生はなくしたが、しかし、すでに『不死』のスペシャルを獲得しているセンの時間は文字通り無限。

「とりあえず、いったんは、このゲームを真正面から楽しんでみるか」

 言いながら、センは、心の中で、

(しかし、携帯ドラゴンの育成か……おそろしく久しぶりだな……200億1万年ぶりってところ……ははは、笑えるぜ。これだけ時間が経ったってのに、いまだ、このスマホゲーのことを、そこそこ鮮明に覚えている……)

 当時のセンは、この携帯ドラゴンというゲームを、かなり真剣にプレイしていた。
 『課金はありえない派』なので、無課金の範囲内でしか回した事はないが、
 それでも、年単位で『貯めて』回した事はある。

 それなりの結果は得た。
 だが、当時組んでいた『デッキ(携帯ドラゴンのビルド)』に『絶対必要だったキャラパーツ』は入手できず、結局、引退した。


(あの時は、どうせゲームだから、と簡単に投げたが……今回はそうじゃない。たかが『初期状態の捕食』で『強化値が1%も上がる』って事は、最終的に到達できるパーセンテージは、おそらく、100や200ではきかない……)

 最低限の見積もりでも『能力が三倍以上になる』という異常な状況に心震わせながら、

(スマホ版だと、5桁は軽く行っていた。総合一位は、確か、6桁に届きかけていたんだよな)

 思い出す。
 後期のインフレしていたランキングの数字。

(俺のデータは、確か、基礎値が1790%くらいで、ウルトラ覚醒コンボブースト等を使った際は、最大で『77000%』くらいまでは上がったはず)

 センのセーブデータは、現在のビルドと同じく、
 基礎値を抑えるかわりに、覚醒時のボーナスが増える仕様。
 とことん『変身ボーナス』を追求した構成になっていたため、
 瞬間最大値はすさまじく高かった。

 瞬間最大強化値77000%は、課金勢を含めても、かなりの上位。

(……くく、しかし、俺、よく、こんな細かい数字まで覚えてんな……バカかよ)

 一度、自分に呆(あき)れてから、
 思考を切り替えて、

(もし、この二次試験が、スマホゲーを踏襲しているのなら、五桁や六桁まで上がったとしてもおかしくはない。……基礎値だけでも、1790%……およそ20倍の加算。覚醒ブースト時には、800倍が加算……ムチャクチャだぜ……)

 そこで、センは想う。

(……正直、『なんで、冒険の書なんかが必要なんだよ』とムカついていたが……冒険者試験を受けさせられた意味は……まさか、これか? ……もしかしたら、『携帯ドラゴン級のスペシャルチートアイテム』がないと、深層では話にならないから……)

 そこまで考えた時点で、ブルっと体が震えた。
 恐怖ではない。
 ワクワクが頭を支配する。

(……この領域にいたるまでに、随分な『地獄』を積んできた)

 ここまでに歩んできた道を思い出しながら、

(……我ながら『そこそこの領域』まで『辿り着いた』と自負していた――が、どうやら、『まだまだ』だったらしい……)

 興奮がとまらない。
 顔が紅潮する。

(そうか、俺は……)

 グっと奥歯をかみしめる。
 溢れる脳汁に浸りながら、

(ここからだったんだ……俺は、ここから強くなるんだ……これまでは、ずっと、ただ下地をつんでいただけだった……俺の物語は……ここからはじまる!)


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