『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……
3+話 配布される、携帯ドラゴンの卵。
3+話 配布される、携帯ドラゴンの卵。
「あ? なんでやねん。俺の愛用偽名は、禁止ワードか? ウ○コとかチ○コと同じってか? ふざけやがって、この丸トカゲがぁ……じゃあ、もっとテキトーな『ケードラ』にしてやる」
『その名前は使用したくありません』
「はぁ?! なんじゃい、したくありませんって……ナメとんのか」
『ふざけた名前はイヤです』
「この野郎……ワガママ言いやがって……じゃあ、えっと……ちょっと真剣に、ガチの名前をやる。『閃拾番(センテンス)』――これでどうだ。これほど、『俺の直系感がエグい名前』はなかなかないぞ。『いつか、息子が産まれたらつけようかな』と密かに考えていたが、『結局、そんな機会はなかったぜ』というオチまでついている由緒正しい名前だ。どうだ、これなら何の文句もな――」
『絶対にイヤです』
「てめぇ、この野郎! 『ゼノリカに所属するやつら』につけたら、『多分、けっこう喜んでくれるであろう、俺の直系ネーム』を、全力拒否しやがったな! くそが……ようし、だったら、単純にクールでカッコイイ名前を――」
と、何度か試してみたが、
『不可能です』
『なんか無理です』
『使用する気がおきません』
「気がおきませんってなんだ、おい!」
その後も、
『イヤです』
『NO』
『センスをうたがいます』
「うるせぇ。てか、逆に、どんな名前だったらいいんだよ、おい!」
結果的に、全て、『使用できません』となった。
『みんな、こんな風に困っているのだろうか』と周りを見渡してみると、
名前をつけるのに苦労しているのは、どうやら自分だけだった。
センは、アダムとシューリに視線を向けて、
「お前ら、どんな名前にした?」
「はっ。私は、アレスと名付けました」
「オイちゃんはメギドでちゅ」
「……ちなみに、その理由は?」
「特に理由はございません。ただ……『なんとなく』でございます」
「オイちゃんも『テキトー』でちゅね。『なんとなく、頭に浮かんだから』以外の理由はありまちぇん」
「……まあ、名前なんて、そんなもんだろうな。えっと、アレスがオッケーなら……じゃあ、マルスとかは?」
『あー、まあ、悪くはないんだけどねぇ、でも、うーん、ちょっと違うかなぁ』
「うっせぇ! なんやねん、お前!」
と、そこで、ナビゴンが、
「みなさん、名前はつけおわりましたね。では、説明を続けます」
まだ名前をつけ終えていないセンをシカトして、
「このMDワールドには、『携帯ドラゴン』を強化するパーツがいたる所に存在します! パーツさえあれば、今、みなさんの御手許(おてもと)にある、そのMDデバイスを使うことで、自由にカスタム・強化する事ができます」
たんたんと、よどみなく、
「強化パーツの入手方法はさまざまです。そこら中にあるお店で売っていたりします! ダンジョンの奥に隠されていたりもします! この世界に存在する『誰か』の頼みをきいてあげると、報酬として獲得できたりもできます! 特殊なポイントをためると、ガチャをまわすこともできます! 『ガチャで獲得できる強化パーツ』はすごく強力ですよ!」
その説明を聞いていたゼンとシグレの二人は、
(携帯ドラゴンのオープニング、そのまんまだな……)
(なんなんこれ、もしかして、こっからは、『スマホゲーの世界に転移しました系』の物語にシフトしていくん?)
「携帯ドラゴンの強さで、ランキングがきまります! 上位50人は無条件で、三次試験に進めます! みなさん、がんばって、携帯ドラゴンを鍛えていきましょう! あ、ちなみにですが、このMDワールドでは、みなさん自身の『力』に対して『大きな制限』がかかる仕様となっております! 他者の携帯ドラゴンを、『ご自身の剣や魔法で吹っ飛ばす』――などといった事はできませんのでご注意ください!」
その話を聞いたセンは、
(マジか。自分の力が使えないとなると……即効で携帯ドラゴンを鍛えないと、俺でも落ちる可能性が普通にあるじゃねぇか……めんどうだな……)
※ ちなみに、ピーツにも卵は配られたが、中はからっぽだった。空気を読んだピーツの携帯ドラゴンが、割れた卵の中心でステルスを解除(と、同時に初期状態に見えるモードを発動)したため、周囲の者は、何の違和感も覚えていなかった。
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