『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

38話 トランスフォーム!


 38話 トランスフォーム!

「かえせ! それは俺のだ!」

「返してもいいけど、これ、多分、先輩じゃ使えないぞ」

「あん? テキトーなこと言うな、さっさとかえせ!」

 そう言いながら、ピーツの手の中から奪い取り、

「俺の、一世一代の晴れ舞台を邪魔しやがって! お前は黙ってみてろ!」

 言いながら、魔カードを天高く掲げ、

「さあ、今度こそ本当に使うぞ! 俺に力をくれ! トランスフォーム!」

 叫びながら、魔カードを破ろうとする――が、

「ぬ……ぬぬぬ!」

 まったく破れなかった。
 魔カードというものは、幼児でも簡単に破れるマジックカットのような仕様になっているのだが、


「ぬいいい!」


 『腕力だけ』は『かなりある方』のボーレが、まったく破れなかった。

「な、言っただろ」

「なんでだ……どうして……」

 ――などと、しょうもない茶番をやっている間も、
 カルシィたちは、メキメキと削られていた。

 古龍の『ブレス』や『飛翔からの突撃』は、当り前だが、凄まじい火力で、
 エーパの回復魔法では対処がまったく追いつかない。

 エーパは、ランク6の全体回復魔法が使える天才で、かつ、潜在魔力量がハンパなく高い。
 スマホゲーで例えるところの『回復役超当たりキャラ』であり、パーティを組むと、誰もが『あれ? コイツいたら、負けなくない?』と思ってしまうほど。

 だが、そんな彼女がいても、強大な力を持つ古龍が相手では、

「――流石に、魔力も枯渇してきたようだな――」

 『常にずっと、最高クラスの全体魔法を使い続けなければいけない』という状態に陥っているため、いくら、潜在魔力量が多いとはいっても、流石に尽きてくる。

 『エーパという回復役を最初に潰すべき』
 『それは、カルシィも分かっているから、エーパの防御策をうつ』
 『防御策を打たれることも分かっているから、あえて無視して、枯渇を狙う』

 ――などといった、心理戦・戦略が繰り広げられている戦場。
 龍と人の死闘。
 まさに、龍試。


 そんな激闘も、永遠には続かない。


 命をかけて闘っているカルシィ・ドコス・エーパの三人。
 そんな彼女達に、古龍は言う。

「――人の身でありながら、なかなか素晴らしい闘いぶりだった。さすがは東方の深き血を継ぐ者と、その従者――」

「……く……さすがに……古龍は……倒せないか……」

 悔しそうにそう呟くカルシィに、古龍は言う。

「――私に勝てる者など、この世には存在しない。私は世界最強の個。究極の命。最も偉大な種族である龍種の中でも、最高位のエンシェント。人間に勝ち目などない――」

 言って、
 古龍は、口の中にドラゴンオーラを集結させていく。
 『貫通属性などの追加効果』は『ない』が、とにかく威力が高い『攻撃力依存』のオーラを口の中に溜めていく。

「――せめてもの慈悲に、最後は、偉大なる力で終わらせてやろう。気高き龍族に伝わる最強のブレス。これが――」

 そこで、バカっと大きく口を開き、


「――『滅びのバスターストリーム』――」


 放出されたエネルギーは、黒い電流を纏って、一直線に、カルシィたちを襲う。
 強大な照射でカルシィたちを消滅させようとする古龍。

「……終わった」

 つい、カルシィが、そう呟いてしまった、
 その瞬間、



「トランスフォーム!」



 後ろから響く、ピーツの叫び。
 その声は、カルシィたちの耳にも届く。
 だが、
 ――先ほどから、ちらちらと聞こえていた『くだらないトリップ』の続きだろう。
 ――バカが、この緊急事態に、よく遊べるな。
 ――頭、イってんの?
 としか思わなかった。
 だから、後ろから聞こえてきたピーツの声に振り返りもせず、
 カルシィたちは、ただただ死を覚悟する。

 偉大なる龍の照射が、彼女達の肉体を消滅させようと襲いかかった、
 その直前、

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