『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

35話 脱兎!


 35話 脱兎!


 ボーレは、高い身体能力と、それを更に強化させる魔法を得意とするゴリゴリの強化系戦士。
 まったく勉強しないので、座学系では、いつも赤点ギリギリだが、
 『戦闘系スキルの出来が問われる科目』では常に好成績を取ってきた。
 ぶっちゃけ、冒険者試験に受かる資質はある(合格できる確率は10%くらいだが、2次突破くらいは余裕)。

 だからこそ、一発型の龍試を受けようとも思えたのだ。
 流石に、『何の特技もないのに龍試を受けようとする』ほどバカじゃない。

 ちなみに、もし、仮に、今回の龍試が、『閃き&知識型の頭脳系』だったら、普通にスルーしていた。
 『確定で受からない試験を受けようとする』ほどのバカでもないってこと。

「俺には、このパワー以外にも、とっておきのワイルドカード(切札)がある。運次第では、ギリ、上位に食い込める可能性だってあるんだ」

「……へぇ。見直した。ただのデブだとしか思っていなかったよ」

「お前のような、ただのバカとは格が違うのだよ。というか、フーマーには、お前のような『ただのバカ』はそういない。そういないというか、いない」

「……だろうねぇ」

 自分でもそう思ったピーツは素直に頷いた。

 サンダーウルフの群れをなんなく突破したピーツたちは、更に奥へと進んでいく。
 途中で、存在値25前後のモンスターが何体か出現したが、
 このメンツならば余裕だった。

 ハッキリ言って、カルシィ級になってくると、
 『よっぽど面倒な罠』にでもかからない限り、
 『危ない目にあう』という事すらない。

 カルシィは、戦闘特化で、罠抜け等の技術はないが、

「カルシィ、そこ動くな。落とし穴だ」

 ドコスは、シノビ系スキル特化なので、問題は皆無。
 多少、傷を負ったとしても、

「お嬢、腕に擦り傷がついているわ」

 回復魔法特化のエーパがいるので、問題はない。

「過保護か。この程度の傷で回復魔法など使うな」

 従者の献身に対して、かるく不満そうな顔をするカルシィ。

 その後ろを、ただついていくだけのピーツ。
 そして、カルシィ・ドコス・エーパのおこぼれを受けながら、
 虎視眈々と、大物を狙っているボーレ。

 ボーレはブツブツと小さな声で、

「……いやぁ、それにしても、運がいい。カルシィのチームに寄生できるとは……これ、いけるかもしれないな……」

 元々、誰かに寄生(火力要員として採用してもらう形で)して、乗り切ろうと思っていたボーレ。
 出来るだけ学内ランキングが高い者に寄生したいと考えていたボーレだったが、なんとなくピーツと一緒にいたおかげで、ヌルっと、カルシィチームに寄生する事ができた。
 なんという激運!

「今回の龍試を受けている者の中だと、カルシィチームが最もバランスがいい……強さで言えば、学内ランキング2位の『エリク』の方が上だが、あの先輩は、一匹狼で、俺を戦力として採用してはくれなかっただろうからな。つまり現状こそ、最も幸運。……これは……見えたな!」

 などと、ぶつぶつ呟いているボーレの横で、
 ピーツは、しんどそうな顔で、

(いい加減、こいつらとはぐれて『独り』になりたいんだが……このカルシィって女、スキがない……)

 ここまでにも何度か、離脱するチャンスをうかがっていたのだが、
 そのたびに、

「こっちだぞ、はぐれるな」

 と、首根っこを掴まれて軌道修正されてしまった。

(かなり強いモンスターとか出てきてくれねぇかなぁ……そのどさくさに乗じて逃げたいところなんだけど……いや、でも、逃げたらこの女、探してきそうだなぁ……それは、それで、また別の面倒臭さがあるんだよなぁ……ああ、だりぃ)

 などと考えていると、

「ん?」

 シノビ系スキル持ちのドコスが、立ち止まって、地面に耳をつけた。

「ドコス、どうした?」

 カルシィに問われ、ドコスは、渋い顔になり、

「逃げ足だ……人間の足音。おそらく、先に行った連中が引き返している音……かなり慌てている。めちゃくちゃ必死で逃げてやがる……」


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