『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……

祝百万部

17話 パラミシ・アジ・ダハーカ。


 17話 パラミシ・アジ・ダハーカ。



 ランク19という、狂ったような魔法を見せつけられたピーツ。

「ありえ……ない……」

 瞠目して、体を震わせる。

 もちろん、『ランク19の魔法』など、
 『ピーツの中に根付く常識』の『枠外』にある超魔法なので、
 具体的に『このぐらい凄い』などとは言えないが、
 目の前にいる亜サイゾーという化け物が、
 『神の領域』に立っていると、一瞬で理解する事はできた。

 ――目の前にいる魔人が『どれだけイカれているか』という事は、一発で理解できた。


「こんな……どういう……バカな……あっていいわけない……こんなこと」

「ふむ。信じられないと。では、これならどうかな。影分身ランク18」

 魔法の行使によって、二体のシャドーが出現した。
 三人になった亜サイゾーは、
 そのままの勢いで、

「「「パラミシ・アジ・ダハーカ、召喚」」」

 三人それぞれ別の印を結び、そう宣言した。

 すると、空に巨大なジオメトリが出現し、
 そのジオメトリに、亜サイゾーのシャドー2体が飲み込まれた。

 グニャリと、時空のゆがむ音がした。
 ギチギチとわななく。

 数秒後、
 2体の亜サイゾー・シャドーを飲み込んだ『そのジオメトリ』から、

「ギギギ……」

 凶悪なオーラを放っている三つ首の龍が出現した。
 サードアイがなくとも『強大である』と瞬時に理解できる、圧倒的な存在感。

「ぁ……ぁあ……」

 そのあまりの威圧感と恐怖から、
 ピーツは腰を抜かしてしまった。
 ションベンを洩らさなかったのは、奇跡に近かった。


「生命の最高峰、龍種。その龍種の中でも、かなり上位に位置する、『大神級』の龍種パラミシ・アジ・ダハーカ。存在値は600を超えている」


「……ろっぴゃく……」

 ちなみに、ピーツも、勇者や魔王の存在値が80~90くらいだという事は知っている。
 この世界の最高クラスの『数値』が『そのくらい』であるという認識はある。

 いわば、この世界は、レベル99が上限のド○クエ的な世界。
 ピーツ(P型センエース2号)は、そう認識していた。

 そこに現れた、レベル1000越えの化け物と、
 そのバケモノが召喚したレベル600の龍。

 ただの『出オチギャグでしかなかったはずの数字』が、
 だんだんと、ピーツの中で『現実味』を帯びてくる。

 存在値1500という狂気。
 存在値600という異常。

 目の前の地獄が、妄想や夢ではなく、
 その身に降りかかっているリアルなのだと、正しく認識しはじめる。


「……は……はっ……ひへへ……」


 急激にSAN値が低下して、
 ピーツは歪んだ笑みを浮かべてしまう。

「ひ、ひひ……」

 ひきつる。
 痙攣が止まらない表情筋。
 自律神経が職務を放棄しだす。
 感覚器が迷走しているのがハッキリと理解できた。
 パニックが濃くなっていく。

 ――だが、

「……っ」

 ある瞬間、





「……く、そが……」





 まるで、サイコロで高純度の奇跡でも引いたみたいに、
 『心の奥にいる誰か』が、『自分』に対してクサビでも打ち込んだみたいに、
 発狂しかけた魂魄が、『重さ』を取り戻した。

 グワっと心が熱くなる。
 『ナメんなよ』と心が叫んだ。

 ――P型センエースエンジンが起動した証。
 P型センエースエンジンなど、所詮はただの劣化コピー。
 オリジナルのソレとは比べ物にならない、粗悪な紛い物でしかないのだが、
 しかし、事実、センエースの魂を金型とした世界最高峰の狂気的問題解決指向システム。

 だから、



「……無様には死んでやらねぇ、せめて最後まで堂々と……」



 歪んだ笑みのまま、
 ピーツは、全身に力をこめて、
 抜けた腰に活を入れる。

 ゆっくりと立ち上がり、

「……もう驚くのには飽きた……ふざけたバケモノどもが……ああ、もう、うん、分かった、分かった……」

 全てを飲み込むように、そう言って、

「殺せ、殺せ。笑って死んでやるよ。……ははっ……この死に方は、かなり豪華だから、あの世で自慢できそうだ。『トラックに轢かれました』って最後より、よっぽど華がある」



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